「眼の会」榊原様より、防災関連情報を頂きました!
転載いたします。
■震災20年 遺族の4割、心理状態回復せず 神戸新聞調査 神戸新聞2015年1月9日(金)
阪神・淡路大震災から20年を前に、神戸新聞社は、震災で家族・親族を亡くした人たちを対象にアンケートを行った。
20年間の気持ちや暮らしの状態をグラフに描いてもらったところ、4割余りの遺族は、今も震災前の水準まで回復していなかった。中にはグラフが底からほとんど上向かない人もおり、心情面を含めた生活の復興が、容易でないことがうかがえる。
アンケートは昨年10月、遺族約900世帯に郵送。
188人から回答があり、うち123人がグラフを描いた。
グラフは横軸に年、縦軸に心や生活の状態を取り、震0災直前を基準(ゼロ)として上側をプラス、下側をマイナスとした。
グラフを描いた人のうち、震災直前の水準を上回った人(現在の状態がプラス)の割合は42・3%(52人)。
ほぼ震災直前の水準まで回復した人も14・6%(18人)いた。
一方で、現在の状態がマイナスの人は43・1%(53人)に上った。
そのうちの約8割は震災以降、ずっとマイナスに沈んだまま。残りの約2割はいったんプラスに回復したものの、再びマイナスに落ち込んでいる。
グラフには、転機となった出来事も書き込んでもらった。
気持ちや暮らしが上向くきっかけとして、最も多かったのが
「子・孫の誕生」で35・8%(44人)。「子・孫の結婚」「趣味やボランティアに打ち込む」なども多かった。
「自宅再建」「仕事の再開・就職」など生活基盤が安定する出来事も上位だった。
半面、気持ちや暮らしが沈む出来事としては、阪神・淡路の後に起こった「家族の死去」「自分自身の病気・けが」「家族の病気・けが・介護」が目立った。
「東日本大震災」を挙げた遺族も1割を超えていた。(武藤邦生)
【「人とのつながり不可欠」 甲南女子大看護リハビリテーション学部の瀬藤乃理子准教授(医療心理学)の話】
子や孫の誕生など家族の増加は、災害の遺族に限らず、気持ちが上向くきっかけとなる。
心の復興には、人とのつながりが不可欠だ。一方、震災前まで回復しないとしている遺族が4割に上るが、
20年の年月が経過する中、さらに不幸な出来事に見舞われたケースも多く、震災の影響だけなのか判断が難し
くなっている。見極めは慎重に行う必要があるだろう。
■有志が助け合いグループ結成 神戸の復興住宅神戸新聞2015年1月9日(金)
【震災20年 被災地から】
阪神・淡路大震災の市営復興住宅「西神井吹台住宅」(神戸市西区井吹台西町1)で、60~80代の有志が、住民を手助けするボランティアグループをつくり、活動している。
代表者らの連絡先を書いたチラシを全戸配布し、「友人と思って気軽に声を掛けて」と呼び掛け、電球交換や悩み相談など身近な困りごとに対応している。(阿部江利)
同住宅は1998年に入居が始まり、11棟に約610世帯約1千人(高齢化率約51%)が暮らす。
約6割が被災世帯で、単身の高齢者も約280人いる。
グループは2009年に発足した「つながり」。
当初5人だったメンバーは、14年10月に協力者を再募集したところ60~80代の17人に。
全員被災経験があり、各棟で役員を務める人も多いが、自治会からは独立して活動している。
須磨区白川台のマンションが半壊し、仮設住宅から移り住んだ代表の小森豊さん(82)によると、
活動のきっかけは、メンバーの元に、高齢者から「ちょっとした頼み事」が相次いだこと。
電球や換気扇のフィルター交換、家具の移動など、一人暮らしや病気などのためできないことが増えていた。
グループは地道に活動を続けていたが、昨年秋にメンバーが増えたのを受け、
窓口となる5人の携帯電話番号を書いたチラシを作って全戸に配り、得意分野に応じて出動している。
過去には、老老介護で妻だけでは夫の面倒が見きれない▽トイレが詰まった▽風呂場の電球が換えられず、懐中電灯で入浴していた▽書類の申請が分からない-などに対応。
認知症による徘徊や、室内での人倒れなど命に関わるケースもあった。
独居高齢者が救急搬送された後、対応に苦労した経験から、「緊急連絡先カード」を作ったこともある。
小森さんは「目指すのは、すぐに『困ってんねん』『助けて』が言える関係。
一度声を掛けてもらえれば、親しくなれるはず。お互いの見守りにもつながる」と力を込める。