フィリピン台風30号被害・現地視察について①

先の台風で甚大な被害を被ったフィリピンに、
ゆめ風基金の馬垣理事、
社会福祉法人AJU自立の家:小倉さん、
障害と開発コンサルタント(D-knowledge代表):千葉さん、
フランシスコ会神父、PSFADC(フィリピン聖フランシスコ・デフ・センター) 代表:佐藤さん、
特定非営利活動法人DPI日本会議事務局員:堀場さんが、2014年2月2日から同年2月8日まで現地調査に行ってきました。
大変遅くなりましたが、そのご報告をさせて頂きます。
なお、詳細な報告書は、DPI日本会議のホームページにも記載されています。
被災地が海外ということもあり、どのような様子か、行ってみないとわからないというのが大きく、
風習の違いや障害者福祉への施策の違いなど、もろもろの異なる文化を持つ国。
相手に寄り添った支援をすることが大事ですが、それが長期になることが充分予想されます。
視察の目的は、前回2013年12月の第一次視察ではつかみきれなかった、当事者の現状把握はもちろん、
日本と現地を結ぶ助けをしてくれる当事者団体を見つけ、緊密なミーティングを行うことなど、です。
それによって、障害者の情報を収集し、「支援するもの」は何か、が見えてきます。
今回は、タクロバン市の当事者団体であるTAPDICO(Tacloban Persons with Disabilities Cooperative:タクロバン障害者組合)を現地活動拠点とし、同市内での福祉機器ニーズを含む障害者情報の収集を行いました。
調査の結果、以下の結論に達しました。
●視察後、馬垣理事とDPI日本会議は、今回のフィリピン台風被災障害者支援をゆめ風基金と協働して行うことを決定しました。
●活動拠点となる当事者団体との連携が可能と思われることから、支援対象となる地域は、レイテ島の中心都市であり被害が甚大であるタクロバン市とします。
また支援金が持続的に被災地の障害者の生活環境の復興に役立つよう、支援方針を以下の2点に絞る。
①当事者組織の拠点整備(事務所の改修、備品購入等)。
②(車椅子を含む)福祉機器の提供。
3ケ月経った今の様子をまず写真でご覧ください。

(陸に打ち上げられたまま放置されている船。右に小さく映っている車と大きさを比べてみてください。かなりの大きさです)

(風で折れ曲がった標識)

右手奥に見えるテントは、支援に入っているNGOなどのテント。現地の人たちは、バラックのようなところで生活)

(下水など復旧しておらず、集落になっているところから溝を作り、垂れ流している。衛生面でも不安が・・・)
以下、DPIの報告書より抜粋します。
1)電気、水道
電信柱が各所で傾き、倒れており、電力供給は部分的に復旧していると聞いたが、大部分はジェネレーター使用によるものと考えられる。
中心部を外れると日没後は極めて暗い。
また避難所や貧困家庭では、支給されたと思われるソーラー発電の懐中電灯の使用が散見された。
水道は普及しておらず、各家庭には大小のタンク、バケツが置かれており井戸や避難所の供給に頼っている。 
2)交通インフラ
街の中心部は舗装が行き届いており、道路の被害は僅少であるように見られた。
ジムニー(乗合バス)、トライシクル(サイドカー付バイク)など交通量は多く、また被災後に入ったと思われる新車のハイエース、ハイラックスやフォードのSUV車等も多く見られた。
バランガイ( 同国の最小行政単位)の警官が交通整理に当たっていた。
3)住宅
海岸に近い家ほど高潮により損壊が激しい。
内陸の家は強風により(最大瞬間風速は105mとされる)屋根が飛ばされているケースが多く見られた。
住民は部分的に壊れた家屋を自力で補修、または放置して住み続けている。
建築用の木材が街の各所で積まれている。
また、各所で国連機関や海外NGOにより仮設住宅が建設されている。
コンべンション・セターの敷地内や海岸近くにはUNICEFやUNHCRによる仮設テントが設置されている。
5)救援活動
ア)現地政府による救援活動
訪問した市政府の担当者によると、被災前には約800名の障害者が登録されていたが、高潮によりデータを紛失した。
現在約100名のリストを作成している。
災害前には家具作製等の事業に対しローン提供を行っていたが、現在は行っていない。
同国の中央政府における障害者政策はDSWD (Department of Social Welfare and Development:社会福祉・開発省)が担っているが、地方分権が強い同国においては市政府の下に置かれるPSWD(the Philippines Social Welfares Development:社会福祉開発室)が州単位で障害者フォーカル・パーソンを設置し、障害者のリストを作成している。しかし障害者に対する行政支援は特には確認できなかった。
イ)海外からの救援活動
街の各所で支援機関の看板や旗が見られた。
確認できたのは赤十字、Caritas、USAID、セーブ・ザ・チルドレン、UNDP、UNICEF、UNHCR、OXFAM、HANDICAP International、CRS(カトリック救援事業会)等である。
UNDPによるキャッシュ・フォー・ワーク[被災者を復興事業に雇って賃金を支払い、被災地の経済復興と被災者の自立支援につなげる手法]と思われる瓦礫除去なども確認できた。
市のソーシャルワーカーによれば、避難所となっているコンベンション・センターでは12名の障害者が生活しており、HANDICAP Internationalが福祉機器を提供しているということだったが、TAPDICOが把握していた高齢の女性(表2 27番)は車椅子を有していなかった。
②に続きます~

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