豊中市立文化芸術センター(以下、「文芸センター」)は、「文化芸術活動に取り組む市民の発表や舞台芸術の鑑賞の機会を提供し、市民とともに文化芸術を新たに創造・発信していくことをとおして、心豊かな市民生活や活力ある地域社会の実現に寄与する拠点施設となることをめざし」、2017年1月にオープンしました。
(豊中市HPより)
今回は、ゆめ風を応援くださっている「国際障害者年を機に「障害」者の自立と完全参加をめざす豊中市民会議」(以下、「国障年・豊中」)からお誘いいただき、12月12日、文芸センターで初めてとなる障害当事者と共同での避難訓練に参加させていただきました。
参加された障害当事者は車いすユーザーが3名、視覚障害の方が1名。
避難訓練自体は30分ほどで終わりました。文芸センター内から出火の想定で、まず防災ベルが鳴り、避難のアナウンスがあり、1階玄関前まで避難しました。
当事者は2階と地下1階にいるという想定で、施設スタッフが当事者のもとへ駆けつけ、避難誘導が行われました。2階から1階への移動はエレベーターで、地下1階から1階の移動は地下駐車場のスロープを使い行われました。
参加された当事者に話を伺うと、避難誘導は比較的スムーズでしたとのことでした。
「しかし地震で停電し、エレベーターが使えなくなった場合はどうするのか?」と、施設の方への質問が相次ぎました。
施設の方の説明では、担架を使うとのこと。
(写真中央が担架)
しかし当事者からは、
「私は脳性麻痺で不随意運動が強いので、ベルトを何本も使って車いすに体を縛りつけているんです。担架に移ることも無理だし、たとえ慣れている介助者でも担いでもらうこともかなり無理があります。また電動車椅子なので、車椅子自体を担いでもらって階段を下りることも難しい」との声や、
「私は脳腫瘍と頚損ですが、脳に管が入っているので担架に移ることも難しい」
との発言がありました。
避難訓練の実施を申し入れた国障年・豊中の中田泰博さんからは、最後に以下のように呼びかけがありました。
「今回の避難訓練は初めてのものだったので、きちんと失敗してもらいたかった。障害特性によって避難時にどのようなことで困るのか、ということは当事者によってそれぞれ違います。
特にエレベーターを使って2階から1階に降りることが想定され、避難訓練がただ”無事”終わってしまったことがショックでした。
避難訓練は、障害当事者を含めさまざまな人に参加してもらい、失敗を繰り返して少しずつ災害時に一人でも困らないようにするために、継続して行う必要があります。
まだスタートラインに着いたばかりです。
今後とも、協力して障害当事者を含めた避難のあり方を模索していきましょう」
ゆめ風基金としても、今後も各地の障害者防災の取り組みを紹介することで、災害時障害者の困りごとが少しでもなくなるよう動いていきます。
事務局 東