豊能労働センターにて 新人研修?の巻
4月、今年は真新しいスーツを着た新入社員に目が留まる。
きっと私が働いて迎えるはじめての春だからなのかもしれない。
この日は、ゆめ風事務局員の細谷さんと豊能労働センターに、新人研修?を兼ねて伺う。
豊能労働センターは、箕面で障害のある人もない人も共に働き、
あたりまえの暮らしを営むことを願って設立された。
30年間、地域の中で根ざし続け、リサイクル事業・飲食店・福祉ショップ経営・通信販売事業・点訳事業・講演会等のイベントによる啓発事業を行う事業所や関連団体が現在11か所ある。
まず、物品販売のお願いをしに、センター事務所に。
パソコン台や印刷機が、所内に並ぶ
最近、私は一日一個の目標を決めて、仕事に挑む。
この日は、挨拶ときちんと人の話を聞く、だ。
行く先々で、丁寧な説明をしていただけたことは、うれしく、ありがたいことだった。
豊能労働センターが営業する食堂「キャベツ畑」でおいしい定食を頂き、点訳室では点字を学んだ。
リサイクル事業の仕事で悲しい時は、送られてくる一部に、処分に手間がいる品物があることだと知った。
普段着、和物、雑貨、古本販売と特色あるそれぞれのお店。
どこも居心地よい空気が漂い、
細谷さんの「行くよー」の声がなくては、動けなかった。
福祉用品・紙おむつ・衣類を扱う福祉ショップ「ゆっくり」では
体の状態に合わせて紙おむつの形や薄さの相談に乗ってくれる。
「いきなり、歩けないから、病室だからおむつというのではなく、この店は人としての尊厳を大事にして・・・」という言葉に、私はホスピスで紙おむつを受け入れなかった夫を想った。
あの時にこの場所を知っていれば・・・と、涙が出そうな顔を上にあげた。
立ち位置をずらし、みんなの視線から少しずれ、春色のコットンマフラーや薄手のコートを手にする。
「もーう、買い物ツアーとちゃうでー。行くよー」と細谷さんから声がかかり、
「はい。承知してます。ありがとうございました」と、機敏に?行動。
桜井市場の「ちまちま工房」のお豆腐に後ろ髪をひかれ、ワークショップ・ちらしづくりの企画スペースに案内される。
「ひょっとして・・・」と、そこには、知人たちとの数年ぶりの再会があった。
心躍らす私に「おいおい、同窓会ツアーとちゃうでー。行くよー」と声がかかる。
箕面市障害者の生活と労働推進協議会は、障害者主体の介護派遣を大切にしているヘルパー事業所だ。
私はこことのご縁を頂いてから、8年になる。
箕面市障害者の生活と労働推進協議会が運営主体の「さんかくひろば」は去年夏に開所された。
磨かれた大きな窓ガラスの向こうから、電子ピアノの音が聞こえる。
「はじめまして、細谷です。手を貸しましょう」と、すぐに横に寄り添ってくれる。
「ありがとう。今日はお世話になります。ほそ・たに・さん?えっ」と驚く私に「そうです。うちの娘です」と父、細谷さんは微笑む。
「ここは障害児の放課後ディサービスに加えて、地域の大人やこどもが交流できるコミュニティカフェも併設していて・・・」と説明を受ける。
「うちの娘(こ)が、団体の説明を・・・なんか不思議なツーショットや」と細谷さん。
「もう。行くでー、ええか」と労働センターの石原氏の軽快な声で、研修終了。
とうがたった新人に、盛りだくさんの研修プランを立て、案内してくれた石原氏には、本当に感謝である。
一日お付き合いしていただくということは、明日から自分の仕事が、立て込むということなのに
箕面には、物と者をつなげていくたくさんの場所がある。
そして、そこには、できなくても諦めない様々な人の姿がある。
「ここにいるんだ」って障害がある人もない人も前を向いている。
だから、私もゆめ風に・・・。