ゆめ風基金に、いろんな情報を提供してくださる、大阪府高槻市にお住まいの、
岸田さんが「先の大阪北部地震で気づかされたこと」という文章を寄せてくださいました。岸田さんは視覚障害者です。
-以下転載-
視覚障害(全盲)で単身生活をする立場から、今回の地震で気づかされたことをあげると
【1】人間関係や組織とのネットワークの大切さ
【2】過去の災害から学ぶ
【3】今後の課題となる。
【1】幸いにも被害はまったくなかったが、出かける直前、激しい揺れに襲われテーブルの下に逃げ込み、ラジオから事態を把握した。
電話はまったく繋がらず、ショートメッセージを送って無事を伝えた。それにしても外の様子がまったくわからず、同じマンションの親しい友人とは電話もメッセージも繋がらずとても不安だった。
1時間たって恐る恐る部屋を移動し、玄関のドアが開くことを確認してほっとした。2時間もすると、電話による安否確認が始まり、利用している視覚障害者支援を行う福祉法人や、会員になっている障碍者の災害支援をするNPOから、そして社会活動をしている地元の組織から連絡があり、一人でも大丈夫だと確信できた。また友人たちから「買い物しようか」「家の中は大丈夫」という電話が入りとても嬉しかった。
【2】先の大震災から茶箪笥や本立てはガラス戸を避け引き戸にすること・廊下や寝室には物を置かない・高いところに物を置かないことを教えられたので、そのとおりにしていたので助かった。
【3】遠くからの支援を待つよりも、マンション内で単独生活や高齢者世帯の人たちとのネットワークを結び、情報交換や協力しあう必要性を感じた。それには日頃から「ご近所さん付き合い」をしておくことが大切ではないかと思う。
生活物資は、三日分ストックすることが言われているが、単独で避難所に生活物資をとりに行けない障害者や高齢者は、できれば一週間ぐらいは用意する必要があるかもしれない。
最後に、この原稿を書き終わった時、台風の影響で大雨となり、高槻市の一部地域に避難指示が出た。
災害情報をまとめたハザードマップを見て適切な行動をとるようにと、スマホからアナウンスが流されたが、障害者や高齢者が災害情報を知っているか、また点字や音訳で情報誌を受け取っていない視覚障害者はどうすればいいのだろうか。行政はあらゆる立場の市民に災害情報を教授すべきではないだろうか。
*上記の感想文は自宅が被害にあっていないことを前提としていることをお断りしておく。