「中学生プロジェクト」ご報告

◆中学生プロジェクト~ご報告
毎年、「いのちと防災を考える 中学生プロジェクト」に参加しています。
「もしも」のことが起こったとき、地域にいるのは中学生ではないか・・・。
その子たちの手を借りて、いのちをつなぐには・・・まずは障害を知ってもらうことからだ!
と、2006年から始まったプロジェクト。
今年も11月13日、摂津第二中学校にお招き頂き、行ってきました。
三年生がいる、図書館に入る。
円状に椅子が並んでいる。
私は言語障害のため、声が出しづらい。
初めて訪問した時、「机を後ろに置き、皆さんだけ前で小さな円になってもらえないでしょうかしょうか」とお願いした。
翌年からこの形態で待っていてくれるのがとても嬉しい。
顔見知りになった先生が見守る中、災害時、障害者が抱える状況や避難訓練の注意事項を説明。
お願いしたいことを相変わらずたどたどしく話す。
脳性まひのまんま、かっこつけられぬまま、中学生と向き合う。
彼らの反応も質問もまったく知らされない。
ただ一度のでたとこ勝負。
しかも、ここ図書館は黒板がない!
小道具の張り紙も使えない。
言いたいことを入力して見せる携帯電話も、手元にない。下の教室だ。
書いてきた原稿を、生徒さんに読んでいただくのも、もう違う気がする。
えーい。
私はこの身一つから精いっぱいの声を張り上げた。
不思議なことに、なんだか、伝わっているらしいのだ。
車いすの扱い方の説明をし終えたところで次々と質問が飛んでくる。
「障害があって、最近困ったことはなんですか?」
ん?しょっちゅうだ。
帰ってきた息子に
「もーうコート抜いて」って言ったらマッサージ器のコードを抜かれたり、
タクシーに乗ったら、同じマンション名で違う場所に連れていかれたり、
頼んだラーメンが硬くて、ヘルパーさんに切ってくださいとお願いしたら、ラーメンライスみたいになったり・・・。
なんだか楽しそうという小声に
「私、楽しいのかな?困るんだけど」と笑いの渦。
「こんな私ですが、避難訓練では、助けてくださいね」と、図書館を後にする。
「ふくもとパワー全開ですね。さあ次も全力でいきますか!」
と、車いすを押されて「えっ?」と首をかしげる。
「だから、次の教室ですよ」と先生は言う。
いつも一コマだけなので、今日は続けざまの2コマであることに、私はこの時はじめて気づく。
「エネルギー使い果たしてクタクタですよ。ムリムリ」と叫ぶまもなく、教室に入る。
図書館とはまた違う空気を感じる。
声が奮い立つ間、担任の先生にサポートをお願いしようと試みるも、上手く伝わらず断念。
教室で頼れるものは我が身と生徒さんだ。
生徒さんと、災害時に困ること、避難訓練の時に気を付ける事を考え、板書整理しながら進めていく。
「障害者でよかったことはなんですか」のご質問には
「ない!」と即答しちゃいました。
「私が私でいてよかったなって思うことはありますけど・・・」
「そうか!おんなじなんや」となんと良い勘所。
「そうそう。次は私が伺います。健常児でよかったことは?」
大人びた顔つきの彼が言います。
「人を助けることができる」
あまりにも真っ直ぐな言葉に私は少したじろぎながら、
「じゃー。障害者でよかったことは、助けられることかな?避難訓練では無理のない範囲でよろしくお願いします。まずは自分を大事にね。」と事前学習を終える。
20日の避難訓練は、中学生と障害者、アクシデントもけがもなく、無事、教室から体育館に移動できました。

(頼もしい中学生の皆さん!介助ありがと~!)
命を守ること
ひとりひとりが自身の存在の大切さを知り
自分以外の人間を想える中学生たち。
私がいつも学びの場になる中学生との大切な時間です。
(福本 千夏)

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