ー東北関東大震災障害者救援本部特集号、NO13より転載ー
●障がいを持つ人の防災提言集発刊
NPO法人いわき自立生活センター理事長・長谷川秀雄
・大震災・津波・原発事故を経験したフクシマから・
福島県内の障がい者団体や支援者の有志が集まり、2011年秋口より:
被災障がい者支援連絡会議:を定期的に開いてきました。
その中で、3・11で障がい者に起きたことが、膨大な情報に埋もれつつあり、
教訓が伝わっていないとの危機感が共有されていきました。
そこで、連絡会議での議論をとりまとめ、社会に発信するために:
障がいを持つ人の防災提言集:を発行することとなり、
2013年9月に:障がいを持つ人の防災研究会:が発足しました。
数回の会議を経て、この7月に発行する運びとなりましたが、
特色は:原発事故と障がい者:に焦点を合わせたことです。
なお、14万人もの福島県民に避難を強いている福島第一原発の事故が、
障がいを持つ人にもたらした困難と恐怖。
二度とこのようなことが起きてほしくはありませんが、
地震多発列島に54基もの原発がひしめき合う日本にあって、
自然災害への防災計画と避難訓練が必要であると同じに、
原発事故防災計画と避難訓練が必要である、というのが
本書の核心的な提案です。
水害で避難指示が出されても、実際に避難する人は10%以下であるそうです。:
まさか自分のところにまでは来ないだろう:と、ふと思ってしまう。災害心理学では、
これを:正常化の偏見:と呼ぶそうです。
原発に関しても、この:正常化の偏見:が作用しているようです。
福島県でこれほどの原発事故があったにも関わらず、どれほどの国民が:
自分の身にも起きうる:と受け止めているでしょうか?
重症患者の避難をどう考えるか?
福島第一原発から数キロのところにあった総合病院は、避難指示が出されたため、
本来は絶対安静で、絶対に動かしてはいけない重症患者をバスに乗せ避難させました。
数時間後に避難所にたどり着いた時には、数名の患者がバスのイスに座ったまま
亡くなっていました。3日間の避難所での生活で更に10名の患者が命を落としました。
今後、原発事故が起きたら、周囲30キロ圏内の病院や福祉施設は、
どうすればよいのでしょうか?
1・無理やり避難する。2・医師・職員は避難、患者は置き去り。
いずれも悲惨な結果を覚悟しなければなりません。
今、鹿児島県の川内原発の再稼働が問題になっていますが、
30キロ圏内の病院や福祉施設の避難については、一切語られてはいません。
もしかして、:もう原発事故など起きるわけがない・:起きるわけもない事故を想定した避難計画なぞ
本来無意味!:とでも言うのでしょうか?
先の設問に対し、本書では:原発の30キロ圏内の病院や福祉施設には核シェルターを設置する
ことを提案しています。そんなのムリ!::莫大な費用がかかる!:との声が聞こえてきそうです。
では、患者・利用者と職員の生命を守るために、これ以外の方法はあるのでしょうか?
:今すぐ原発から撤退すれば、その問題はクリアーできる:と思う人もいるかもしれません。
が、停止中の原発にもおびただしい放射性物質が溜め込まれています。
廃炉作業:原発の解体作業:中にも、放射性物質の拡散事故も考えられます。
私たち日本列島に住む者は、例外なくこの構造のもとで、あと数万年暮らしていくことになります。
たかだか数十年しか発電しない原発の後始末を、数万年も子孫に押し付ける愚かなことを
私たちはすでにしてしまっているのです。私たちの祖先は森林を伐採した後に苗木を植え、
海岸線に防潮林を育てました。すべては子孫への贈り物でした。
現代人のしていることはこれと:真逆:のことではないでしょうか?
・その時福祉・介護事業所は
福島第一原発事故直後、福島県民は避難を始め、数十万人が故郷を離れました。
その中には、当然医師や介護職員も含まれていました。多くの病院や薬局、
介護施設は職員が激減し休止するところが相次ぎました。
家族のことを考え、後ろ髪をひかれながら避難した人。
家族を地元に残し、施設利用者と一緒に県外に避難していった人。残った人。
全ての人が苦渋の選択を迫られました。
このことは、福島県で大変語りづらいテーマとなっています。
障がいを持つ人の中には、自力で避難できない人もいました。
また様々な理由で:残る:選択をした人もいました。
それらの障がいを持つ人への支援を継続することは、
その局面で:業務:とは言えないものになっていました。
ボランティアには:志願兵:という意味もあるようですが、有害物質で汚染された地域での
障がいを持つ人の支援活動は、志願:者による自主的自発的な活動となっていきます。
原発事故が起きたら、自分たちの事業所はどこまで支援を継続するのか。
自分はどうするのかを、あらかじめ考えておく必要があります。
:あってほしくはないことは考えたくない:ということでは、自分や大切な人の命は守れません。
〇本書の構成は、
第一部・原発事故を中心とした防災の問題
第二部・災害時の障がいを持つ人への緊急支援のための災害時要援護者の情報提供の問題
資料編・南相馬市での被災直後に行われた障がい者への訪問調査の報告となっています。
木口福祉財団の助成で発行されたため、300円というお手軽価格での販売となります。
・お問い合わせ、NPO法人いわき自立生活センター 福島県いわき市中央台高久2-26-3
TEL、0246-68-8925-FAX、0246-68-8926
………………………………………・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・●被災障害者支援ゆめ風基金が届けた救援金総額は、309701224円:014年8月12日現在:
東日本関連救援金、金額は、264292139円です。:014年8月12日現在:
〓今の基金残高!254988305円:014年6月末日現在:です。
このメールは、東北関東大震災被災障害者救援に関する、被災障害者支援ゆめ風基金副代表理事、
障害者問題総合誌:そよ風のように街に出よう:編集長、バクバクの会事務局員でもある
河野秀忠が感じた、各方面の被災障害者救援活動のあれこれの個人的レポートです。
広く知ってもらいたいので、転送自由。自由にお使いください。
息の長い救援が求められています。長期戦です。
救援金の送り先は、郵便振替口座:00980-7-40043:ゆめ風基金です。;とうほく;と書いてください。
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東日本大震災救援活動の中のhideの風景
■22日、長居スポーツセンターで開催された:大規模災害時の障害者支援・事業継続・についての
研究発表会。 23日の第5回・東北=関西:ポジティブ生活文化交流祭:長居公園自由広場には、
両日とも、好天気に恵まれ、昨年度を上回る人出がありました。出店も50店舗以上、
東北3県から参加された被災地障害者支援拠点からの 物産品も軒並み売り切れてしまいました。
5000人を超える参加者でした! 以上