ちょっと行ってきました!(福本千夏)

―ハローワーク編―
事務所の用事で、一駅、電車に乗り梅田に。
うわさには聞いていたけれど、すっすご!
自宅からもそう遠くはないが、数か月ぶりの大阪駅。
一つ一つのビルは美しいが、まるで巨大迷路だ。
知り合いには、車いすでの移動が可能と聞いていたが
さっそくエレベーターの位置がわからない。
探しあてて乗るものの、
「こちらから先は階段しかないのでお戻りいただいて・・・」と言われる。
目の前に見えているビルにいくのに、どこをどう行けばいいのかわからず頭を抱える。
車いすを押す職場介助者の汗を感じるも、「まあ、着くときに着く」と、私。
到着した、ハローワークセンター。
二度目の訪問だ。
私は、幸か不幸か、結婚後、昨年50歳になるまで、職歴がなかった。 
ゆめ風基金という障害を持つ者に理解と支援を続けている場所でさえ、
いや、そういう場所だからこそ、私は飛び込むのにかなりの勇気が必要だった。
職業経験、技能、知識など何もない私が一つの机を与えられる。
喜びと同じだけの不安を持つのは当然だ。
と、今は思えるのだけど・・・。
自分の体力も想像できず、トライアル雇用で短時間就労からのスタートを切った。
一般にはあまり知られていないのだが、安定的な就職が困難な障害者が、常用雇用をめざしながら、いきなり無理することなく働けるこの制度に、背中を押され、職場に迎えられた。
あれから10か月。
就労時間も伸ばせ、勤務指定曜日に働き続けられている。
職場の配慮や根気強い言葉があってのこととは言うまでもない。
が、ハローワークをはじめとする、就労相談窓口の対応が親切であることもありがたい。
今日も書類が出せずに、おたおたしている私を見て
「お手伝いしましょうか」とクリアファイルを受け取ってくれる。
障害者は働かなくてもいいんだという考えも私は否定しない。
命をつなぐのが精いっぱいということも、私は毎日、脳性まひの身をもって知っている。
でも、障害者にも働く権利があたえられるということを、ここ、ゆめ風基金で知りだした。
だから、働こうという意志だけは持ち続けたい。

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