「繋がる」ことの喜び
大阪府立柴島高等学校 チーム繋 代表顧問 和田一幸
わたしたちが今年の文化祭で東日本大震災の被災者支援の募金活動をやろうと思い立ったのは7月初旬だったと思います。本校にはボランティア系の部活動として、「ボランティア部」と「地域子ども交流会」という2つの団体があります。大半の部員が3年生で、3年間の活動の集大成という意味もありました。
募金先をいろいろ探しましたが、最終的に選ばせていただいたのが、日ごろわたしたちの活動でご縁のあるノーマライゼーション協会からご紹介いただいた「ゆめ風基金」でした。わたしたちの学校のこんなに近くに、阪神大震災のときに創設された被災障がい者支援団体の事務局があることをはじめて知り、このたび連携させていただくことにしました。
活動を始めるにあたり、わたしたちは、夏休みに被災地気仙沼に救援活動に出向いた本校生とも協同し、プロジェクトチームを結成しました。今年の本校の文化祭の統一テーマが「繋ぐ」であったこともあり、ゆめ風基金を通じて、わたしたち大阪の高校生と被災地の障がい者の方々とが少しでも繋がることができれば、という思いから、14名の高校生有志で「チーム繋(KEIと読みます)」を立ち上げました。PTAや本校後援会の協賛もいただけました。
募金当日までの間、生徒たちのモチベーションを高めることに努めました。募金を募る以上、生徒たち自身が震災と障がい者の置かれている現状に対して正しい認識を持っておくべきだと感じたからでした。生徒たちは、ゆめ風基金の橘高事務局長にもお会いして被災地のパネル等を見せていただいたり、被災地の障がい者の実情を紹介したNHKの放送を見たりして、彼女たちなりに認識を新たにしてくれたと思います。
しかし、2日間の、しかも高校の文化祭という限られた場所での募金なので、正直なところあまり多くの額のお金を集めることはかなわないだろうと予想していました。ところが実際は終わってみると、本校の生徒やその保護者、その他来場者のみなさまから、わたしたちの予想を大きく上回る募金をいただくことができました。中には家で貯めていたと思われる小銭の詰まった空き瓶をそのまま持ってきてくれた生徒もいました。
「チーム繋」の生徒たちも、それぞれに舞台発表や催しなど、ほかの仕事の合間を縫って交代で募金ブースの当番をし、当番の間は精一杯声を出して募金を呼びかけてくれて、わたしとしても本当によくがんばってくれたと感謝しています。生徒たち自身も予想以上の反響と、集まった義捐金の多さに「やってよかった」と喜んでいました。
これからもこうした活動を機会あるごとに行っていこうと考えています。「ゆめ風基金」の橘高様はじめ、スタッフの皆様には、大変お世話になり感謝の気持ちでいっぱいです。また、生徒たちに貴重な体験の場を与えていただき、ありがとうございました。わたしたちの集めたお金が少しでも被災地の障がい者の皆様のお役に立てば幸いです。
以下に、生徒たちの生の感想を掲載させていただきます。
「この募金活動をして、いろいろな人が募金をしてくれるのがこれほどまでに嬉しいとは思わなかったです。一生懸命に募金の呼びかけをして、お金を入れてくれたときはとてやりがいを感じました。こういう機会があればまたしてみたいです。良い思い出を作らせてくださりありがとうございました。」(1年 H.R.)
「今回、初めて募金活動という貴重な体験をさせていただきました。正直なところ、自分が得するわけではないのですが、大きな声を出して呼びかけて、子どもからお年寄りの方まで、いろんな方が募金をしてくださり、とても嬉しいかぎりでした。このような形でボランティア活動に参加できて本当に良かったと思っています。」(1年 N.S.)
「募金活動をしたのは今回が初めてで、最初は声を出すことにも抵抗があったけど、友達や先輩が募金箱を持って呼びかけるのを手伝ってくれて、それが嬉しくて自分も大きな声で呼びかけるのを頑張ることができました。初めて箱にお金を入れてもらったとき、なんだかすごく嬉しくて、それからも入れてくれた人に笑顔でお礼を言うことができました。たくさんの人とコミュニケーションをとることもできて楽しかったです。なかなか実感できないけど、少しでも東北の人のためになれたら嬉しいです。」(1年 F.K.)