5月20日、ゆめ風基金・八幡理事の被災地報告会には約50名の方々が参加してくださいました。今回の報告会では4月の終わりから5月のはじめにかけて現地でボランティア活動をされた方々も多数参加されていて、お一人お一人の体験を通じて感じたことや課題などがつぎつぎと報告され、とても充実した報告会になりました。
支援活動の中味は、今もつづけている安否確認、一般避難所や福祉施設の避難所と自宅にいる障害者の介護、支援物資の配達などですが、他の支援活動とちがうのは個別ニーズに対応することを徹底的に実行することです。
現地のボランティアとして活動された人たちが異口同音に語ったのが「ニーズがなかなか上がってこない」ということでした。ある所では、行政が「すでに調査は終わっています。ゆめ風基金さんにお願いするようなニーズはありません」といったそうです。また、一般の避難所でも「障害のある方はいらっしゃいませんか、困っておられることがありましたら連絡してください」と呼びかけたりチラシをおいたりしても、「はい、わたしは障害者です」と名乗ってくれるはずもありません。結果、「ここには障害者はいません」といわれてしまうのでした。
それでも、粘り強く呼びかけたり、個別のニーズに対応した支援活動をし続けることで、「こんなことも頼んでいいのかな」と声をかけてくれる人が現れたり、ひとりの障害者への支援を通じて、あの人もこの人もと教えてくださったり、反対に支援活動のことを伝えてくださったりして、少しずつですが確実に活動が広がっていったそうです。
一般避難所での支援活動は、「みんな困っているのだから、あのひとだけというのは問題」とみられる反面、障害者に限らず特別のニーズを持っている人がいることを周りの人が知るチャンスにもなります。それがきっかけでいろいろなニーズが上がってくることもあり、またいろいろな人が助け合うコミュニティを新しくつくっていくことにつながったらというお話もありました。
また、避難所には物資が届いていても、自宅に避難している人には物資が届かず、毎日物資を届けて、とても喜ばれたという報告や、「とにかく支援が早い」とほめられたこともうれしいことだったそうです。
避難所から仮説住宅へと移る時にバリアフリーになっているかどうか、また仮設住宅の改修はできないことになっていて行政との交渉が必要ということ、これから移送サービスなどもニーズが上がってくること、また親戚に避難していた障害者が仮設住宅に移ったときには介護が必要になることなど、支援活動が広がっていくことでさまざまな課題もあきらかになってきます。
よりきめ細かい支援活動にするため、宮城では亘理町に南地区の拠点をつくり、近くにあった高齢者デイサービスにたずさわっていた職員を地域雇用した他、北の拠点も登米市のそば屋さんの協力でお店を借りることができました。また、岩手では遠野市に拠点を置くことですでに場所を借りました。
被災地では連休後ボランティアの人数が急減して困っているということで、一週間以上活動できるボランティアの方を求めています。
現地のボランティアとして活動された人たちが、現地のスタッフがたおれてしまわないかと、とても心配されていました。これから息の長い支援を必要としています。
そこで被災地では支援センターの障害者を中心に障害者自身による支援体制をつくりだすため、関東や関西の障害者が被災地に入り現地の障害者との交流を深め、障害者による支援ネットワークを広げようとしています。子供の時は大きな町の支援学校での寮生活、大人になれば施設への入居か親元での在宅になってしまう地域事情は、地域での自立生活を支えるための福祉サービスの少ないことに結びついています。その状況を変えて、ひとがひととしてあたりまえに暮らしていく社会をつくりだすために、障害当事者がつながっていくことはいまもっとも必要とされることだと思いますし、現地を長期に支えようとするボランティアのひとたちに勇気を与えることでしょう。
あっという間に時間がすぎてしまい、報告会は終わりました。
八幡理事は23日に現地に戻る予定です。