とっておきの音楽祭は、2001年仙台市で始まった、障害のある人もない人も一緒に音楽を楽しみ、音楽のチカラで心のバリアフリーを目指す音楽祭です。商店街、ビルの前、公園など街がステージとなり、障害のある人もない人も一緒に演奏し、歌い、踊り、街行く人が観客となります。毎年、県内外から約200の団体・バンドが出演してきました。
障害のある人もない人も参加し、心のバリアフリーを目指す屋外の音楽祭は全国的にも珍しく、その規模も日本最大といわれています。
今年も6月5日の開催に向けて準備をしていたところ、3月11日の巨大地震で実行委員、出演予定者のほとんどが被災し、家族、友達、仕事、家、故郷を奪われ、音楽祭の開催があやぶまれましたが、たくさんの市民から「今だからこそ音楽祭を」と開催をもとめる声が寄せられ、開催することになりました。
特別な思いが集まって開かれるこの音楽祭のフィナーレに、ゆめ風基金の呼びかけ人代表の小室等さんが特別ゲストとして参加されることになりました。
被災地の障害者救援活動をつづける被災地障がい者センターみやぎのスタッフの方々から「とっておきの音楽祭」の話を聞き、ゆめ風基金としても何か協力できることがないかと話し合いました。186グループの参加がありすでにプログラムが決まっている中で2曲分しか時間がないのだけれど、それでも小室等さんになんとか来てもらえないかという実行委員会の願いをおそるおそる伝えたところ、小室さんは「かまわないよ」と言ってくださったのでした。
小室さんの心意気に、とっておきの音楽祭の実行委員会もゆめ風基金もただただ感謝です。
前日の前夜祭にも加納浩美さんなどゆめ風基金の支援ミュージシャンの参加も決まりました。
ゆめ風基金のスタッフも4日5日現地に応援に行くことになり、被災地障がい者センターみやぎのスタッフと交流し、現地の状況を聞かせてもらうことになりました。
よろこび、かなしみ、いかり、いさかい、わかちあい、わかれから生まれるいくつもの歌を、まるで魔法使いならぬ「歌使い」のように静かに届けてくれる小室等さんが被災地に立つすがたが浮かんできます。
そしてとっておき音楽祭で歌われるすべてのグループのすべての歌がひとびとの心に流れ、共に生きる新しい町をつくりだす静かな勇気となっていく現場に立ち会えることに、わくわくするというより、涙が出てきます。
ともに生きる、すべてのひとの希望をたがやすために…。
とっておきの音楽祭