熊本地震から10ヶ月が経過した2月21日、益城町で、障害者がともに暮らせる「地域創生館」開所式が行われました。
春を思わせるぽかぽか陽気、150人を超す地元の障害者、支援者、県外の障害者、支援者が創生館誕生を祝いました。
冒頭、熊本地震で被災し、大勢の仲間と共に避難生活を送ったヒューマンネットワークくまもと代表の日隈辰彦さんが発災当初の様子を報告。
「熊本学園大学にインクルーシブ避難所が開設され、多くの仲間が助かった。震災で、情報が届かない、避難できない、避難所や仮設住宅で暮らせない現実を体験し、これまでの災害の教訓がまったく生かされていないことに驚いた。二度とこうしたことが起こらないように、自分たちが体験した教訓を今後に生かしていきたい」。
関西実行委員会として、多くのボランティアを派遣、障害者自立生活運動のキャリアをもとにした相談など、救援活動を力強く支えてきたJIL代表平下耕三さんは、「倉田さん、東さん、日隈さんをはじめとする熊本の障害者運動があったからこそ、救援活動がスムースに開始され、全国ネットワークも強力に支援することができたと思います。心から敬意を表します」と話しました。
熊本県障害者支援課長、益城町福祉課長も列席、「被災地障害者センターの救援活動には本当に感謝しています。行政にはできないことをしていただきました。これからも連携して被災障害者の復興に取組んで組んでいきたい」と挨拶。
被災地障害者センターくまもと代表 倉田哲也さんは、「これまで救援活動を続けてきたが、まだまだ、被災障害者の困難には充分対応できていない。制度の情報が届いていない障害者はたくさんいる。また、制度の谷間にいてまったく支援を受けられない人もたくさんいる。センターはそうした障害者とつながって対応してきた。まだまだつながっていない障害者はたくさんいる、これからも救援活動を続けて、一人でも多くの障害者と、障害者が暮らしやすいまちづくりに取組んでいきたい」と話しました。
益城町の障害当事者Sさんからは「被災して避難所で大変な思いをした。やっと仮設住宅に入れるかと思ったら、バリアフリーとは名ばかりで、スロープがついているだけのものだった。とても暮らせないと、被災地障害者センターと一緒に、町と県に粘り強く要望し、使いやすいバリアフリー住宅ができた。この体験を多くの方に伝えたい、そして困っている仲間と もっとつながっていきたい」と力強く話しました。
最後に、創生館代表 東俊裕さんから「震災後、救援活動にまい進してきた。これまでおよそ500人の障害者のSOSに対応してきた。かかわったボランティアはのべ2千人を越えた。
SOSを受けて訪問した障害者の状況を忘れることはできない。地震で壁や屋根に穴の空いた自宅で呆然とする障害者、制度や福祉サービスにまったくつながっていない障害者、どこからも助けの手が届かず、困窮の末に意を決してSOSを発信されて我々とつながった。4万2千枚のビラを熊本市内の障害者に届けたときには、毎日、70件前後のSOSが寄せられた。まだまだ正念場、これからも救援活動は続きます。どうか息の長い応援をお願いします」と力強い表明がありました。
創生館という拠点ができたことで、被災障害者支援活動、障害者の地域生活づくりは、新たな段階に入ります。
また開所式当日、ゆめ風基金の会員さまからお送りいただきました千羽鶴を地域創生館にお届けいたしました。
いつもあたたかい応援をいただき本当にありがとうございます。
ゆめ風基金事務局