以前、ブログにて報告しました、今年3月、愛媛県で開かれた「ゆめ風基金 第22回定時総会」には、CIL松山の須賀さんのお声掛けもあり、2018年7月7日の西日本豪雨で被災された団体の方もたくさん参加くださいました。ここでは、各団体の報告を数回に分けてご紹介させていただきます。
■報告①:吉田町手をつなぐ育成会 山本さん
《被害状況》
7月7日、吉田町手をつなぐ育成会の活動拠点は、地面から約20 cm 程の高さしかなく、浸水被害のため、最終的に移転を余儀なくされました。
吉田町の被害は、建物全壊115件、床上浸水1478件、床下519件、合計2112件。数字だけ見ると少ない様に感じますが、人口規模として約8000人台の町で、これだけ多くの方が被害に遭われました。
また、中心部の川の氾濫によって山が崩れ、農業用のため池も溢れたそうです。吉田町はみかん山が多く、谷筋に2200箇所以上崩れていたそうです。除草剤を使っているので、土質の関係上、持ちきれず崩れたのだと思うとのことでした。
《写真コンテスト開催に向けて・・・》
災害当時は、写真コンテストの一般公募中だったそうですが、多大な被害に遭ったにも関わらず、誰もコンテストを止めるとは言わず、復旧作業を続けられ、発災から2か月後に吉田公民館で写真展を開催されました。
復旧作業には、学生や一般ボランティアさんも参加され、井戸水の使えるご家庭に行き、写真展用の枠のネジを外し、バラバラにして洗浄。細かい山土なので、洗っても洗っても、あとから吹き出してくるのを再度洗い、修復されたそうです。
当時、写真展の会場付近はまだドロドロの状態で、自衛隊員が歩いていたそうです。「こんな状況で開催して、どんな意味があるのかな。」と思われたそうですが、写真展の開催を知り、来場された方が「あ、うちの猫に似てる」などの声を聞いたり、近所の方々が久々に再会され、お互いに近況報告をされる場面もあったそうで、「日常のドロドロのところが、ここに来て誰かと話す、災害以外のことを話すというような場所が提供できたのではないか。」と話してくださいました。
《親の会の役割として・・・》
また「親の会の役割の一つとして、災害時につながって、お互いの現状を確認しヘルプを拾うアンテナ機能がある。災害直後、一番頼りとする行政・社協などは業務に忙殺され、一人一人に対応できるのは、かなり時間が経ってからだったと実感している。先ずは、住んでいる周辺の人からの助けがありがたい。次に外から入る、ボランティア、支援物資、支援金。それらの情報をキャッチして、被災された障害者家庭につながるところが必要だと感じている。」とのことでした。
最後に「小さい地域の親の会だからこそ、顔の見える関係、個々のご家庭の状況が分かるネットワークが災害の時に使えると実感している。自分が動けない時に、組織が機能しない状態ではなく、小さなアンテナを会の中で作らなければと思っている。
自分の地域が動けなかったら別の地域がある。その地域が無理ならその隣の地域。そういうようなヘルプを出すアンテナ機能と、ネットワークをこれから作らないといけない。そして、周りのヘルプを拾って被災地の外に SOS を出したいと思う。」と、締めくくられました。