被災地当事者派遣 報告書
夢宙センター 平下泰幸 中村孝司 溝口広知
スケジュール
9月19日(月)岩手県に到着,被災地センターいわてにて定例会議参加 たこ焼きパーティー
9月20日(火)CILもりおかにて長期ILP講座打ち合せ
9月21日(水)沿岸部大船渡市同行 バリアフリー仮設住宅聞き取り調査 県庁訪問
9月22日(木)沿岸部陸前高田市同行 視覚障害者協会送迎打合せ
9月23日(金)沿岸部陸前高田市同行 下肢障害者被災現場→入浴サービス施設見学
9月24日(土)沿岸部宮古市同行(外出支援等) 朝日厚生文化事業団担当者同行取材
9月25日(日)CILもりおか長期ILP講座
9月26日(月)事務所勤務 遠野支部のかたづけ 社協に物資引き取り
活動報告
①沿岸部 女性障害者宅訪問→バリアフリー仮設住宅の聞き取り調査
女性障害者宅訪問した時に居間の扉も幅が狭く車椅子が通ることも難しく、居間まで車椅子のままでは行けなかった。日頃車椅子の乗ったままの生活をしている私ですが、車椅子から畳におり、長時間畳の上に座っていると足が痛くなりました。そういった障害状況の方もおられると思うし、被災された障害者はとても住みにくい生活をしていることを実感した。
バリアフリー仮設住宅とは呼ばれているものの、お風呂やトイレに段差があり、使用するには困難な状況である。聞きとりでは、住宅の改修の要望がすべて未定との県庁の答えがあったと言われ、バリアフリー仮設での生活が困難であることを訴えられていた。そのうち、障害者になってからの自分の状況であったり、障害者観であったりとたくさんのお話をしていただき、私が思う障害者観のお話などをした。
その後、近隣のバリアフリー仮設住宅に居住者の方に聞き取りを行った。
各世帯、障害の状況や家族の状況に違いはあるが、一様にトイレやお風呂が使用しにくいとの声があがった。お風呂では浴室に入るまでに30センチほどの段差があり、浴槽も高さがあるため、お湯に浸かることが困難である。 夏の間はシャワーだけで過ごしていたが、冬になればお湯に浸からないと寒いために、不安を感じてる方や、近くの兄弟の家にお風呂を借りるしかないと考えられている方もおられた。トイレに関しても段差があることや狭いために使用しにくいそうだ。
②県庁訪問
県庁の職員はバリアフリー仮設の内容に全く把握されておらず、こちらが用意した仮設の写真で初めてどういう状況かわかった様子。仮設が県か市か、どちらの管轄なのかも把握されておらず、確認するとのこと。27日に県庁内の担当者会議が行われるようで、これまでにセンターが伝えてきたケースと今回のケースも含め話し合われる予定。住宅建築課や障害福祉課等、各課でどのような支援ができるか決めるそうです。仮設の使い勝手の悪さに生活の最低限必要なトイレ、お風呂に関しては使いやすいように『もっと障害当事者の声を聞いてください』など改善要望を求めてきた。
③沿岸部 男性下肢障害者訪問→被災後の現地訪問
陸前高田の男性下肢障害者の仮設住宅へ訪問。住宅はバリアフリーではなかった為、近くの川の駅で奥さんと一緒に被災状況のお話をして頂いた。昔からご近所つきあいを大切にし、被災時もご近所の方に救出してもらったなどの話を聞き、コミュニティは大切だなと思った。その後、実際に被災にあった陸前高田に移動をして被災現地の場所まで行き、当時の生々しいお話を聞くことができた。また、今の仮設住宅では入浴が困難な為、毎日、利用されている身体障害者・高齢者のための入浴サービスが行われている所も案内して頂き見学をした。
④沿岸部 Aくんとお母さんと外出支援同行
今までメインストリームの人たちが関わってきていた宮古市に住んでいる重心の男性Aくん宅に朝日新聞厚生文化事業団担当者さんとメイン佐藤さんと一緒に訪問しました。水分補給(スブーンで口に運ぶ)等の介助をしたりした後、外出支援でご本人さん、お母さんで宮古の市街地で一緒に昼食を食べました。お母さんもすごく明るくいい人で、ヘルパーさんとの関わりで高齢者支援的なヘルパーさんが多いことの悩みや、また夢宙の介助スタッフが介助者側からの自立生活の話等をしたりして、色々話しをしました。その後、宮古の観光地(浄土ケ浜)に出かけ、岩手の障害当事者、ご家族と同じ空気を吸い、同じ景色を見て、ご本人に話しかけると笑顔を返してくれたりして楽しく交流できて、岩手の障害当事者の気持ちが少し理解できた。以上のようなボランティア支援をいわきの専従スタッフは5ヶ月も続け、Aくんとの信頼関係を築いていた。
また、岩手に障害当事者が行って話をするだけではなく、実際に関西の障害者がどのような自立生活をしているか等を知りたいとうことで、近日、関西のほうに来られることの約束をした。
⑤CILもりおか 長期ILP講座「掃除・洗濯」
リーダーを含め4名での参加。リーダー以外の参加者は自立しておらず、施設生活の方でした。介助者と共に掃除・洗濯の仕方のビデオ鑑賞、テキストによる掃除・洗濯の仕方のプログラムの進行で進み、平下の介助者なしでの掃除・洗濯での体験談、自立生活後の介助者と一緒に掃除・洗濯の体験談や自立生活で大切にしていることなどの話をする。
また夢宙センターが作成した「重度障害者のエンジョイ自立生活の一日」のDVDを鑑賞した。みんなからの感想では、夢宙DVDはとても楽しくわかりやすかった。また何でも自分で頑張らなければと思っていたが、介助者にしてほしいことを自分で選び、自分で決め、決めたことの責任を自分で持ち、自立生活を楽しむこと等、自立生活への希望が持てたなどを話していた。長期ILP講座を終えた後、参加者たちが一歩自立へ進んでいることを期待したい。
⑥被災地障がい者センターいわてのスタッフ達の交流
朝早くから夜遅くまで活動し、いつも仕事モードのセンターいわてのスタッフ達と活動後の飲みニケーションを盛んに行い、笑いあり、真剣モード話あり等の交流をたくさんして、センターいわてのスタッフ達との関係性を深め、センターいわてのスタッフ達を盛り上げてきた。時には、おそらく車椅子で行く人は少ないであろうバリアフルな居酒屋に行き、車椅子障害者も普通に居酒屋に行くことの存在もしめしてきた。
⑦まとめ
最後に、一週間を通して感じたことは、私が外で出ているだけで、ジロジロ見られる人々の視線を感じ、障害者が珍しく、移動手段は車でなければ移動できない交通アクセスの問題を実感し、障害者が外に出にくい環境であることを痛感した。
また、ある話をお聞きした時、ある施設に入所している方の現状で、職員の人員不足が原因で、その介助内容として食べ物に直接、口を付けて食事をしている人が当たり前のようにいる場面の目のあたりにしたことなど、非常に驚いてしまう現状を教えてもらった。
まして震災で環境が悪化し、そのうえ震災前からも社会資源が少ないことを感じ、障害者としての困難さ、環境での困難さで、二重三重の困難があり、現地の障害当事者は、ほんまたいへんやなと思った。この状況を何とかして、変えていかなければと思った。
だからこそ、障害当事者自らが声をあげ行動し、一人でも多くの障害者が外に出れるように、交通アクセスを良くしていき、障害者観を変え、障害者が地域で堂々と主体的に生活できるように、どこの場所であろうが、障害当時者が元気になれる社会にする為に、私達障害当事者の仲間と一緒にがんばっていこう!
がんばろう岩手 一緒にがんばろう岩手の障害当事者