障害連事務局FAXレターNo.222 2011.8.9(火)
いま、八合目か?
―もっとも苦しいとき、総合福祉部会(第17回)―
8月9日(火)総合福祉部会(17回)が行われた。7月26日発表された骨格提言素案の修正等に関する意見交換が中心となった。
その議論に入る前に、これまで違う意見が出ていてもきちんと討論していない。少数意見を尊重して欲しいし、また今後どうやって調整をしていくのか、などの意見がだされた。これに対して佐藤部会長は、「少数意見であっても、重要なものはきちんと明記していきたい」とした。
また最終を8月30日とするのはどうにかならないか、との意見も出された。佐藤部会長は、「新法をつくるにあたって4ヶ月ぐらいの準備期間が必要と厚生労働省は言っている」と答えた。
さらに、「地方自治体の意見をきちんときいてほしい。せっかくの地方の新法がだめになる」との指摘もあった。
骨格提言の法の理念目的では、介護保険優先原則についてのさまざまな問題提起があった。ALSの人が地域生活を行う場合、難病として介護保険の対象となってしまい困っている、という意見もだされた。一方で65歳以上の要介護者が障害者手帳をとり、貧困ビジネスのようなものに利用されているという実態も明らかにされた。
OECDの障害者予算の平均を上回るように、という記述に対しては「今の2倍以上の予算が必要となり現実的な緻密な試算が必要ではないか」という意見がだされた、これに対しては尾上副部会長から「そういう意味でも総合福祉法の輪郭を明らかにして、厚労省に試算をしてもらわなければ話が始まらない」とした。地域移行や重度障害者の長期間介護における国負担の割合を高めていくことが提言に盛り込まれ、自治体の負担割合を低くするため出身地の負担を入れるという考え方も示されているが、それについては賛成反対の意見が出された。
医療では、精神障害者の保護者制度について、「家族の負担を軽くするため保護者制度の廃止が必要」とする意見と、「保護者制度を廃止しそれを新たな公的機関が行うならば反対」とする意見、さらには「家族でも保護者の役割をしたいという人もいるのではないか」との意見に分かれた。
さらに、「精神医療を受ける人は年々増え大きな問題となっている。この状況を止めなければならない」との意見も出た。
障害児支援では、施設について障害の一元化ということが、盛り込まれていたが、様々な障害のある人がいることから、「慎重に段階的に」という意見が出た。また特別支援学校の寄宿舎のあり方についてはその充実を求めていく意見が出され、大谷座長は「学校教育法の位置づけをきちんと整理しなければならない」と答えた。
労働では賃金補てんのあり方について議論され、「所得保障制度と絡めるべきではない」とする意見と、「所得保障のあり方に関係する問題」の意見が出た。
きちんと今後も労働のあり方については、議論すべきである、との指摘も出された。
部会の終了間近に、修正意見を反映させた新しい骨格提言案の議論に入ったため、一時、緊張が走った。基本的には、各委員が文書で意見を出すことになったが、「地域移行に偏りすぎている」という意見の一方で「地域生活をうたう権利条約を踏まえた新法をつくらなければ意味がない」という考え方も出された。さらに、利用者負担と絡める形で「人工呼吸器をつけた人や経管栄養の人などが、十分なケアを受けられないため、命を落としていることが多い」との強い指摘もされた。
次回8月30日(火)骨格提言最終まとめ
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いま、何を学び、何を行動するか
日時 2011年9月3日(土) 13時受付 13時30分~16時
会場 東京都障害者福祉会館(田町)
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「ヒロシマとフクシマ -目を背けてはいけない史実と事実」