■報告⑦特定非営利活動法人 歩 白石さん
《被害状況》
発災当時、歩さんでは、放課後等デイサービス2事業所、生活介護、相談支援事業所を運営されていましたが、ほとんどの事業所が被害に遭われ、送迎車も6台水没しました。中でも、放課後等デイサービス「歩2」の被害は大きく、2m20㎝まで浸水し全壊となりました。
《発災当の行動として》
7日の発災当日、白石さんは「歩2」に宿泊されていたそうです。時間が経つにつれ浸水の状況は悪化。この時白石さんは、夏休みが2週間後に控えていることを踏まえ、今後、業者への修繕依頼は殺到すると予測。対応が遅くなると事業所の再建も遅くなると考え「水が引いたら一番に改修してほしい。」と、直ぐに施工業者へ電話をされました。修繕依頼の連絡が遅れた事業所は、発災から一か月後でも再開が出来ていなかったそうです。
《再建に向けての準備》
翌日8日、職員が全員集まり、放課後等デイサービスも生活介護も地域資源の一つで、受け入れをしないと困るご家庭もいる。また、片付けを目の前に生活するのはあまりにも不憫で、日常の生活を送ることを大切にしたいという思いから、7月10日から事業所の再開を決断。直ぐに、安否確認と利用再開のお知らせをされました。それと同時に、送迎車も水没したので車両の手配、必要書類の確認など、再開に向けて様々な準備をされました。
《受援力と受援計画》
災害時、歩さんには利用者のご家族や、地域の小中学生や高校生の他、様々な団体やボランティアが支援に入られました。
白石さんは、ボランティアの受け入れに関して「平穏な日常と一変し、情報も錯綜し混乱した状況の中で、優先順位を決め、支援者に何をしてもらうか、何をしてもらえるのかを見極める力「受援力」が必要」と仰っており、外部支援者の方が適材適所で活動できるように、事前に準備をされたそうです。
また、被災して実感したこととして、要配慮者へのボランティアに関しては、自分の思いを上手く伝える事が出来ない方もいらっしゃるので、少人数でゆっくりと丁寧に関わってもらう。物資の支援に関しては、必要な物(物資)は日々変わるので、必要な物資をこまめに確認し、その現状を発信する事が大切と仰っていました。
《災害後の活動として》
災害後の活動として、歩さんに支援に入られたAARジャパン (難民を助ける会)の提案で、家庭と教育と福祉の三者共同に向けた検討委員会を立ち上げられ、研修会を開催されています。
また、歩さんは大洲市の医療的ケアのコーディネーターとして指定を受けており、医療的ケア児の家族の会を毎年開催されています。今年度は、危機管理課の方を迎え、西日本豪雨災害の時、重度心身障害者障害者・児、医療的ケア児やその家族は、どの様な状況だったのかを報告されたそうです。
白石さんは、事前に災害当時の聞き取りをされたそうですが、誰一人、避難所には行ってなかったそうです。その理由としては、新興住宅地や、市外、県外から転入されたばかりの方が多く、地域の民生委員や自主防災組織などを、全く知らないということが分かりました。
また「私達には、その本人だけではなくて、兄弟もいる。荷物も沢山ある。なのに、一回、一般避難所に行かなければ、福祉避難所には行けないのか。それは、合理的配慮に欠けるのではないか。」という意見も出たそうです。
その後、名簿を提出し、その中の一人でも利用を希望された場合は、「歩」を避難所医療的ケア児と、重度心身障害児の避難所としての開所が許可されたとのことでした。