私たちの15の提言

1.災害の前に備えておく

提言1 あの手この手で「いのち」をトコトンいとおしむ
災害に対する知識や情報をさまざまな機会に伝え、防災に役立てるようにしてください。


 水害では、避難勧告が出ても「自分のところまで被害は及ばない」と避難をしない人が多くいます。ハザードマップの作成など、災害に対する啓発を積極的に行い、ひとりひとりが災害を未然に防ぐ意識が必要です。

提言2 情報は確実に、支援は的確に
避難をうながす情報の発令基準と、伝達方法を明確にするとともに、障害者市民の負担が増えない支援方法が必要です。

 2005年3月に、国は「避難準備情報」を新たに設定しました。これは水害時に、障害者市民や高齢者が逃げ遅れないよう早めに避難情報を出すために定められたものです。このような情報を確実に届ける仕組みづくりが必要ですが、障害者市民にとっては、同時に避難準備や移動を支援する体制と避難所の改善が必要です。

提言3 頼りになるのはお隣りさんと、ふだんのつながり
障害者市民などの支援には、地域のネットワークとともに
ふだんの介護・福祉サービスのつながりを活用してください。

 大規模な災害では行政による支援に限界があるので、地域で支え合う仕組みが必要です。そのような地域ネットワークで障害者市民や高齢者を支えていくためには、個人情報を共有する必要がありますが、人権にも十分な配慮が必要です。当事者の意見を十分に聞いて、ネットワークづくりを進めることが必要です。

提言4 支援はおしつけないで、私ぬきには決めないで
災害時の障害者市民への支援計画を当事者がいないところで決めないでください。


 各地の自治体で、「災害時要援護者支援計画」づくりが進んでいますが、作成過程に障害者市民が参加している例は少ないようです。計画作成だけでなく、避難所点検や防災訓練にも、障害者市民の参加が必要です。毎年1月の「防災とボランティア週間」を、市民参加型の防災訓練の日と位置づけるなど、障害者市民が参加しやすい環境を整える必要があります。

提言5 緊急時、逃げられるように家の対策
家具の転倒防止や耐震改修助成を制度化してください


 阪神・淡路大震災では、住宅倒壊による死亡者の内、高齢者が6割を占めました。障害者市民も所得が低く、木造住宅や新たな耐震基準に満たない低家賃の住宅に住んでいることが多くあります。また家具が転倒したとき、障害者市民は、自力脱出が困難です。自治体による耐震改修費助成や家具の転倒防止助成を進める必要があります。

2.災害にあったときの、避難や支援方法を改善する

提言6 「家のほうがマシ」な避難所は、行く気がしない
避難所の改善、福祉避難所の指定など多様な避難所の準備が必要です。


 これまでの大規模災害では、多くの障害者市民が避難所で暮らせないと判断し、避難所に行きませんでした。国は避難所の環境改善を行う指針を出していますが、未だ障害者市民が安心して避難できるような改善にはなっていません。障害者市民が安心して使えるように、避難所を改善したり、福祉避難所を確保することが必要です。

提言7 やわらか頭で、さまざまな障害がある人の住宅探し
仮設住宅はプレハブ建設にこだわらず、障害者市民が生活できるものにしてください。


 障害者市民にとっては、避難所とともに仮設住宅も生活できない場所です。仮設住宅のバリアフリー化は、国が指針で出している様に必要です。しかしコスト面や居住性を考えると、プレハブ住宅だけに頼るのではなく、既存住宅を積極的に活用することも考えられます。また不便なところに仮設住宅が建てられても利用しにくいので、個人の敷地を利用した方法も確立してください。

提言8 ところ変われば、サポート変わる
仮設住宅や復興過程で増大するサポートに応えられる体制づくりを


 仮設住宅への入居が進む頃には、まちは一定の落ち着きを取り戻すが、障害者市民にとっては、環境の変化や道路工事などで、介護サービスを今まで以上に必要とします。しかし災害では従来受けていたサービスでさえ、継続してうけることが難しくなります。災害時に柔軟に届けられる介護サービスが必要です。

提言9 「絵に描いた餅」にならないネットワークづくり
被災障害者支援センターの位置づけと災害ボランティアセンターの体制づくりを。


 阪神・淡路大震災でも、新潟県中越地震でも、障害者支援を行うセンターが設置され、障害者市民の支援や相談に役立ちました。しかし被災障害者支援センターを立ち上げることを、自治体の防災計画に位置づけてないところも多くあります。行政と社会福祉協議会の役割分担を明確にして、福祉の専門家と民間ボランティアがうまく機能する仕組みづくりをふだんにつくっておくことが必要です。

提言10 力はみんなで出すけれど、行政責任もしっかりと
自助、共助に頼りがちな防災計画。行政が果たす役割も明確に。


 国や自治体がつくる最近の防災計画では、自助、共助が大きく強調されています。大規模災害が起きたとき、被災した自治体ができることに限界はありますが、自治体が連携すれば多くの専門職員を確保できます。消防組織の見直しや法律整備、予算の確保など、行政がしなければならないことはまだまだあります。

提言11 届かない支援・情報、見直しを
指定の避難所以外で暮らす人への支援も防災計画に盛り込んでください。


 障害者市民は避難所では暮らせないと、無理をして自宅で過ごしたり、知人や親戚を頼ることが多くあります。しかし避難所へ行かないことで、必要な支援が受けられなかったり、情報が得られなかったりします。避難先の自治体と被災障害者支援センターが中心となり、避難所へ行かない障害者市民の支援体制をつくってください。

提言12 「いのち」に関わる課題、急いで解決を
医療や医療的ケアを必要とする人の支援のために、早急な仕組みづくりを。


 災害時に医療を必要とする人が、継続した医療を受けるためには、病院間のネットワークとともに、情報伝達や移動の手段を整えなければなりません。そのためには行政や患者も含めたネットワークの構築が必要です。また医療的ケアを必要とする人のために、ヘルパーが医療的ケアを担えるように、態勢整備が必要です。

3.災害後の復興を見直す

提言13 小さな拠点、「泣きっ面に蜂」なんて困ります
小規模な障害者作業所にも、復興のための補助金制度を確立してください。


 社会福祉法人の施設では、災害が起こったときの被害を国が補償する制度がありますが、小規模な障害者作業所などには、こうした補償制度がありません。小規模な障害者作業所は、日常の運営も市民の支援を受けて成り立っていますが、震災後はそうした支援も少なくなります。支援策の確立が必要です。

提言14 新たなまちづくりはバリアフリー化のチャンス
まちづくり復興計画には障害者市民こそ参加させてください


 災害復興のまちづくりに、障害者市民も参加できるようにルールづくりをしてください。災害復興時は、ハートビル法や交通バリアフリー法にあてはまらない、小規模な施設をバリアフリー化できる良い機会ととらえることが必要です。

4.まとめ

提言15 防災・減災はふだんのまちづくりから
障害者市民や高齢者の防災・減災を進めるには、ふだんのまちづくりを変えていくこと。


 災害が起きると、障害者市民や高齢者は、他の人より大きな被害を受けます。それを防ぐには、建物の耐震化とバリアフリー化を同時に進めることや、地域内の福祉拠点を整備することが必要です。また学校教育での人材育成や、災害のときでも福祉サービスが継続できる方法を検討しておくなど、ふだんの取り組みも重要です。効率重視から安全重視をするまちづくりへ転換が必要です。