特定非営利活動法人 ゆめ風基金

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ゆめごよみ風だより No.92 | 2020/9/18発行

災害に備えてー「どんな時もだれも取り残されない」を考える第1回

人工呼吸器ユーザーの生活

東 耕大(事務局)

高齢者、障害者、乳幼児、妊産婦、外国人などは、災害時に被害を受けやすく「災害時要配慮者」と呼ばれています。

東日本大震災では、障害者の死亡率が住民全体の死亡率の2倍に上ったというデータ(NHK)もあります。

また、必要な災害対策には、共通点も多くありますが、障害の種類によって違いもあります。

はじめは、人工呼吸器ユーザーの防災を、一緒に考えていければ幸いです。次回は、具体的に防災を考えます。

呼吸器ユーザーの状況

人口

在宅生活をする人工呼吸器ユーザーは全国で1万9509人(2018年厚労省)。医療技術の進歩等で人口が増えている。
呼吸器装着の原因は、疾病、重度障害、事故後遺症等による呼吸不全。

学校に通う子どもの状況

特別支援学校および小中学校における医療的ケアが必要な子どもも増加している。しかし、普通学校については、看護師や一定の医療的ケアができる教員等を1校に1名以上配置できている都道府県は少なく、保護者が対応しているケースが多いのが実情。

公的支援

支援の種類

障害者総合支援法に基づき、主に市町村から介護給付、訓練等給付、相談支援、自立支援医療、補装具、地域生活支援事業の支援が受けられる。自己負担額は、原則利用料の1割(所得により利用料上限あり)。

年金

納付要件、障害程度の条件を満たした場合(基礎年金は未成年の納付要件無し)►障害基礎年金(年額)1級97万7125円・2級78万1700円►障害厚生年金

手当

障害程度及び所得要件を満たした場合►特別障害者手当(「著しく重度」の障害者対象)月額2万7350円►20歳未満の人や養育者には、「障害児福祉手当」や、「特別児童扶養手当」が支給される場合がある

日常を支える医療機器

  • 丸みを帯びた矩形の機材。真ん中に液晶画面があり、手前に管が伸びている

    人工呼吸器

  • 左側に管が伸びているボトルがあり、右側にはメーターがついている機材。

    (痰等の)吸引器

  • 楕円形のバルブ。両端に管がついている。

    バッグバルブ

    手動式人工呼吸器。移乗時や緊急時に使用。通称「バクバク」

  • 矩形の機材。前面に数値が表示された液晶。

    パルスオキシメーター

    脈拍と動脈血の酸素飽和度を測定

  • 箱型の上に透明のドーム状のものが付属した機材。

    加温加湿器

    呼吸器からの空気を温め加湿

  • 箱型の機材。上部に液晶とボタン、前面には管が付属している。

    酸素濃縮器

ベッドに横たわり、胸のあたりに呼吸器の管がつながっている青年

はじめまして

折田 おりた りょう

この企画をなぜ始めるか

呼吸器ユーザーの防災は、自助、共助、公助のいずれも不十分なことが多いと思います。
災害時には、停電が発生することが多く、例えば、2018年北海道胆振東部地震では最大約295万戸が停電しました。バクバクの会(呼吸器ユーザーの団体)のメンバーからも、とても困ったという声が寄せられています。停電対策以外にも、災害時の介助者不足、避難先、備蓄など多くの課題があります。今回頂いた機会を通じて、自分の防災を含めて、考えていきたいと思います。

自己紹介

私は生後半年を過ぎてから脊髄性筋萎縮症と診断されました。医師からは「2歳くらいまでしか生きられない」と言われました。ですが、まわりの支援を受けながら、地域の保育所に入り、小学校から高校まで地域の学校に通い、今は一人暮らしをしています。人工呼吸器をつけている人は、実家で親と住んでいる人も多いですが、一人暮らしは何事も自分で決めることができて、のびのびと生活できています。まわりの人たちにも存在を知ってもらえ、友人もでき、防災にもつながっている側面もあると思っています。

困っていること

一方、呼吸器ユーザーが地域で生活する際には、まだまだ困難があります。ヘルパー制度を利用して生活していますが、重度訪問介護制度は、単価が安く、サービスを提供している事業所がそもそも少なく、さらにその中で呼吸器ユーザーの支援を行う事業所は少ない状況で、私もバクバクの会のメンバーの多くも、慢性的なヘルパー不足に悩んでいます。また、行政からヘルパー利用の時間数が決められていますが多くの人の時間数が不足しています。私は常時2人介助で、かなり時間数が出ている方ですが、それでも月188時間分不足しており、不足分は事業所が補填しています。
経済的にも、年金と手当をあわせても月11万円弱で、貯金を崩して生活していますが、貯金も少なくなっており余裕はありません。その上、呼吸器や呼吸器のバッテリー、痰の吸引器等、生活するためには医療機器が必要です。しかし基本的に公費負担は1台分だけで、災害用に買い足す場合は自己負担となり、準備は簡単ではありません。防災のためには、ヘルパーの非常食等も準備が必要です。これも経済的な負担は小さくありません。

伝えたいこと

呼吸器ユーザーにとって、呼吸器等の医療機器は体の大切な一部です。視力が悪い人がかけるメガネと同じようなものだと思っています。制度が整っていなかったり、理解が進んでいなかったりして、特に地方ではまだまだ地域で生活できない呼吸器ユーザーがたくさんいます。どんな人でも高齢になったり、障害や病気にかかることがあります。どんな状態になっても、その人が自分らしく生きられるように、一緒に考えていけたらと思います。

筆者プロフィール

31歳。香川生まれ大阪育ち。NPO法人そらいろ代表、バクバクの会(呼吸器ユーザーの団体)メンバー。脊髄性筋萎縮症

趣味
外出、映画鑑賞、ご当地キューピー人形集め
一人暮らしの夢は叶った。今度は、世界中を旅して友達を作りたい。呼吸器をつけていても地域の中で当たり前に生活していける社会にしたい。今後も各地の活動を支援したい
気になっていること
コロナ(新型肺炎)。1週間に12人のヘルパーが出入りするので心配。慢性的なヘルパー不足

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