特定非営利活動法人 ゆめ風基金

特定非営利活動法人 ゆめ風基金

〒533-0033:
大阪市東淀川区東中島1-13-43-106

TEL:06-6324-7702
FAX:06-6321-5662

MAIL:info@yumekazek.com

障害者救援活動にご協力ください

障害者救援金
送り先
郵便振替口座
00980-7-40043
ゆめかぜ基金
その他の振込方法

ゆめごよみ風だより No.91 | 2020/5/16発行

リレー・エッセイ 災害と障害者 第65回置き去りは許さない

弥生三月も残り一週間。暖かい日差しの中に、鳥がさえずり、青い空の下、熊本でも淡いピンクの桜が咲きほころんでいます。私の一番好きな季節です。
ところが、今年は昨年と全く異なる風景。桜の下で花見の宴を楽しむ人たちはまばら。2、3人の小グループでひっそりと互いの距離を保っている様子です。「今年は散歩や車での移動の通りすがりに眺めるだけにしよう」という人も多いようです。それもこれも、今、世界中を震撼させている新型コロナウイルスの蔓延の影響によるものです。日本の首都東京も、首都封鎖の一歩手前と報道されています。

ウイルス蔓延と障害者サービス

高齢者や基礎疾患のある人や病弱な人たちは、陽性になった場合、重症化、重篤化する可能性が高いと言われており、私も含め障害を持つ仲間たちはひやひやしながら過ごしていることでしょう。更に、移動の大規模な制限が決まった場合、最も懸念されるのは、介助を必要とする人たちのサービスがどうなるかということです。既に、派遣を控えている事業者もいると聞き、大変心配しています。食料や生活必需品、衛生用品などがどう供給されるのかも大きな懸念材料です。更には、入院が必要になった場合、現在区分6の人が事業者派遣の介助者による病院での対応が認められていますが、それより下の区分にあたる人たちへの介助者による支援も、時限的であってもまず認められるようにしなければなりません。この問題については、参議院議員の木村英子さんが、いち早く厚労省に働きかけておられ心強い限りです。

当事者の声を政策に

そんな中、国会で立ち上がった「新型コロナウイルス対策政府・与野党連絡協議会」にれいわ新選組に参加要請がなく、木村英子議員も舩後靖彦議員も参加できないというとんでもない事態になっているようです。新型コロナウイルス禍も、災害の一つであることは明らかで、災害において多くの高齢者や障害者など支援が必要な人たちが、犠牲となったり、厳しい局面におかれたことは、東日本大震災を始め近年立て続けに起こっている地震や豪雨の被害状況から明らかであり、その教訓として「当事者」の経験や知見を防災や災害対応に反映させることが何より重要であることを、私たちは強く学んできたはずです。やはりまだまだ政治の場面で、障害当事者がいても無視される、活かされないという差別が存在するということを再認識させられました。

オリパラ延期へ

さて昨日3月24日、「東京オリンピックパラリンピック(オリパラ)2020」が1年程延期になることが決まりました。当然のことと思います。天邪鬼な私は、正直、ビジネス化してしまったこの巨大なプロジェクトを歓迎してはいなかったのですが、純粋にスポーツによる自己実現、目標達成に努力してきた人たちに思いを馳せると、様々な解決すべき課題が新たに生じることは承知しながらも、中止でなく延期でよかったのかと感じます。ただ練習環境にも苦労してきた多くのパラアスリートの中には、障害の進行とのせめぎ合いの中で、2020年夏というタイミングでないと出場が難しくなる方もいると聞きます。心が痛みますが、希望を失わずに2021へ向かっていただけるよう、エールを送りたいと思います。

「創造的復興」から「想像的復興」へ

熊本地震から4年が経ちます。4月16日未明の長く激しい揺れの中、私は揺れが収まるまでは動くまいとベッドの中で身をすくめ、「火災による延焼に襲われたら、私はアウトだ」と恐怖に襲われました。多くの仲間たちが既に日常を取り戻していますが、フラッシュバックともいうべき、あの時の恐怖がよみがえる瞬間があるという人も少なくありません。
さて、3月22日、熊本県知事選が行われ、蒲島知事が再選され、4期目に入ることが決まりました。結構、使い古された「創造的復興」というフレーズを掲げ、益城町の4車線化や熊本空港の大改修や空港アクセス鉄道敷設等の重厚長大な事業を進めてきています。しかし、今回の新型コロナウイルス禍が、海外からの集客を進めるインバウンド頼みの政策に大きな影を落としているように、このような事業を「創造的復興」としてこの際とばかり巨額な予算をつぎ込み、まだまだ生活再建が厳しく、将来見通しが立てられない被災者に「想像力」を働かせ、血の通った支援を実現しているとは思えない熊本県政には、首を傾げたくなります。

取り組みの強化必要

特に、岡山県などが進めている高齢者、障害者など要支援者について「災害時要支援者個別支援計画」を作っていくことを障害当事者や地域を巻き込んで熊本県、政令市である熊本市は速やかに実現していく必要があります。自立生活センターヒューマンネットワーク熊本が事務局を務めているKDF(熊本障害フォーラム)は、差別をなくす条例作りに向けて立ち上がった障害種別を超えて連帯している団体ですが、熊本地震後も年に2回、場合によってはその都度、熊本県に要望書を提出し、意見交換しています。まだまだ強く継続的な働きかけが必要だと痛感しています。是非、今後とも全国の皆さんと情報交換をし、連帯させていただきたいと思います。
最後になりますが、熊本地震の際、物心両面で大変手厚いご支援をいただいたゆめ風基金に感謝申し上げます。そして、この拙稿が皆さんの目に留まる頃には、ウイルスとの闘いが終息に向かっていることを心から祈ります。 (3月25日 記)

深緑の服を着たショートカットの女性

平野( ひらの )みどり( )

DPI日本会議議長。1958年熊本市生まれ。脊髄腫瘍摘出手術後の30歳より車椅子生活を始める。90年に第10期ダスキン障害者海外派遣研修生として渡米、自立生活運動、ADA法制定過程等を学ぶ。帰国後の91年、障害者自立生活センター「ヒューマンネットワーク熊本」を仲間と設立する。97年の補欠選挙で熊本県議会議員に当選し、5期(17年4か月)活動。

©ゆめ風基金