特定非営利活動法人 ゆめ風基金

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ゆめごよみ風だより No.90 | 2020/1/25発行

南海トラフ大地震に私たちはどう備えるか?

vol.10人工呼吸器使用者はどう生き延びる? バクバクの会
~人工呼吸器とともに生きる~

事務局長 折田 みどり

バクバクの会は、当事者の命と思いを何よりも大切にしながら、人工呼吸器や医療的ケアが必要であっても、地域の中であたりまえに暮らせる社会の実現をめざして1989年より活動している。会員は0才から67才と幅広く、生活場所も病院、施設入所、在宅(家族と生活、独居)と様々である。
私たちは、1995年に起きた阪神淡路大震災をきっかけに、人工呼吸器使用児者がどんな大災害に遭っても生き延びるための防災、災害対策に力を入れてきた。
思い起こせば、阪神淡路大震災では、神戸で入院中だった会員は、病院が甚大な被害を受け、使用中の人工呼吸器が吹っ飛び、60時間手動式人工呼吸器で命をつないだ。入院先から火の手が上がる街をかいくぐり、命からがら自宅に逃げ帰った会員もいた。それは、いざというときは病院に避難すれば何とかなるのではと当初考えていた私たちにとって衝撃的な事実であった。在宅中の会員は、酸素会社が被災し、人工呼吸器を動かすための酸素圧縮ボンベの供給ができなくなった。大阪の会員が倒れた高速道路の横をバイクで命がけで通りぬけ、空のボンベを預かりに行き、尼崎で充填し、被災会員に届けた。普通の支援物資では手に入らない、滅菌蒸留水など医療物品は、近隣の会員が余剰分を提供し合い、被災地会員に届け続けた。阪神淡路大震災では被災地近隣の会員が多く、会員同士の互助支援が功を奏した。
しかし、後に起こった東日本大震災では、近隣の会員は少なく、会員同士の互助支援が難しかった。そこで、ゆめ風基金を通じ、現地障害者団体に原発事故で孤立する入院中の会員をつなげていただいた。ゆめ風のもつネットワークと行動力は本当にありがたく、救われた思いがした。
その後も数々の大規模な自然災害が相次いで発生し、各地で甚大な被害が生じている。様々な災害が起こるたびに会員の安否確認を行い、被害状況を収集し、各自の災害対策に役立てるように情報提供を続けている。災害には様々あり、これをしていたら絶対安全ということはない。幸いにも東日本大震災以降、困難な状況に直面しながらもそれぞれが立てた対策でギリギリであっても命をつなぎ生き延びてくれている。これまでの経験から、「日常のケアに万全の対策をとり、日常の支援体制を充実させておくこと、その延長に防災がある」と提唱してきたことが少しは役に立っているのかも知れない。
これまでのどの災害でも、会員に誰一人として怪我人や亡くなった人がいなかったのは奇跡的とも言える。しかし、人工呼吸器使用児者にとって日々生きることが闘い。常日頃から生を見つめ生きてきたからこそ、あの大震災でも最悪の事態を免れたのかもしれないとも思う。
人工呼吸器使用児者が、来る南海トラフ地震にも耐え、生き延びる手立てはまだまだ足りていないだろう。それでも、その日に必ずや生き延びるために、これまでの災害から学び、対策も進化させていくことが大事だと思う。

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