特定非営利活動法人 ゆめ風基金

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ゆめごよみ風だより No.90 | 2020/1/25発行

リレー・エッセイ 災害と障害者 第64回昨今の自然災害から、障害当事者が取り組む地域とのつながりづくり

昨今は地震、台風のみならず記録的豪雨が全国を襲う。昨年の2019年は、台風19号が中部・関東・東北と広範囲の地域の、多数の河川氾濫をもたらし、多くの亡くなられた方や浸水被害者を生み出した。本当に心からお悔やみとお見舞いを申し上げ、一日も早い復興をお祈りするばかりである。

大阪での自然災害

私は大阪市生まれの大阪市育ち。1995年の阪神淡路大震災で初めて地震の怖さを知ったが、それ以外は自然災害の怖ろしさをあまり知らずにきた。ところがまだ記憶に新しい一昨年2018年6月の大阪北部地震、9月の台風21号と続く自然災害の被害は、大阪であっても油断できないとあらためて思い知る。
大阪北部地震では、電動車いすユーザーである私は自宅マンションのエレベーター停止で、復旧までの半日はマンションから出られなかった。地域の障害者の状況として、エレベーター停止で一日半ほど外出できなかったケースや、逆にすでに仕事で家を出ており、帰宅したときに復旧しておらず車中泊せざるを得なかった車いすユーザーもいた。また、日中活動への通所中で地下鉄を利用していた知的障害のある人は、途中の駅で地下鉄を出ざるを得ず、慣れない場所で路頭に迷い、家族や支援者も連絡がつかず、その日の夜遅くになるまで自宅に戻れなかったケースもあった。
台風21号では、私は数名のスタッフと事務所の中に居り、次第にかなりの暴風となってシャッターを下ろしたが、シャッターごと吹き飛ばされそうになり強い恐怖に包まれた。やがて暴風が過ぎ去ったころ、事務所のシャッターを上げると周囲の変わり果てた景色に驚いた。近隣建物の看板や窓ガラスが割れて飛び散り、瓦や壁の落ちた家、信号機は傾き、大きな木がいくつも倒れていた。自宅に戻るとマンションロビーの天井自体が落ちていた。
以降も毎年大きな風水害は全国的に頻繁に起り、今後も各地の障害者仲間が受けるかもしれない災害時の被害を想像すると、私をはじめ障害当事者自身それぞれが防災について、日ごろの備え、逃げること、そして避難生活について考え準備していかなければならないと強く感じる。

それぞれ机を囲って、肩が触れ合うほど集まって話し合っている
地域の見守り活動を振り返る座談会の様子

私たちが行う区基幹センターおよび自立支援協議会当事者部会の取り組み

大阪市では要援護者見守りネットワーク強化事業により、支援を必要とする人の要支援者名簿を各区地域で作り、日ごろの見守り活動や災害時の避難支援に役立てる取り組みが数年前から始まっている。私が活動する都島区も、区内の障害者に要支援者名簿への掲載の同意を呼びかけてきており、区と区社協の見守り相談室が地域へ名簿渡しする時に私たちセンターも同行し、地域の方たちに障害についての講演をしたりグループワークで意見交換を行い、啓発活動に取り組んできた。その後は、見守り座談会へと発展し、地域のなかで孤立する人とどうつながっていけるか、見守り活動をする地域の方たちと話し合ってきた。また、地域向けの障害啓発研修「広げよう地域の輪」という取り組みも5年継続してきている。
まだまだ地域のなかで、障害についてや障害者の地域生活については知られていない。地域の人たちと障害者が知り合う機会を増やしていかなければならない。そういった意味でも地域福祉コーディネーターの方たちの連絡会や地域活動協議会にも区障害者基幹相談支援センターの立場で関わりをつくってきた。都島区での自立支援協議会では、当事者部会と区のまちづくり推進課防災担当者とで意見交換を継続している。障害当事者がこれまでの自然災害時に、どういう状況にあり何に困ってきたか、今も何に不安を抱いているか。行政と地域と障害者がどうつながりあえるか。今年2020年の「広げよう地域の輪」は、区と地域の合同防災訓練で障害者も参加する訓練を計画している。

障害者と地域のつながりづくり

私たちNPOあるるが加盟し共に活動している「障害者の自立と完全参加をめざす大阪連絡会議(障大連)」でも大阪府や大阪市交渉で、防災について交渉課題にあげている。例えば、豪雨や台風で河川氾濫の恐れがある場合は、車いすユーザーなど上の階に避難しにくい障害者や高齢者が、避難して安心して過ごせるよう、地域の学校のエレベーターで上階に優先避難できる明確なルールづくり。そのルールにもとづいて実際に区と地域と障害者団体が連携して防災訓練を行うなど、地域の連携を強めていくことなど求めている。障害者があたりまえに地域で暮らし、地域のなかでつながりあっていくことが急がれる。私も重度障害者の一人。地域で暮らし続け、多様性を受けとめられる地域づくり、誰もが支えあっていけるネットワークづくりがあらためて重要だと感じ、声をだし続けていきたい。

スキンヘッドで眼鏡をかけた男性

鳥屋( とや )利治( としはる )

1968年大阪市生まれ、脳性麻痺。就学前に1年間、訓練施設に入所。小中高校と地域の学校へ通う。職業リハセンターを経て企業で18年間勤務。大学時代に車いすツインバスケットを通じて当事者仲間と出会い障害者運動に参加。2009年より自立生活センター・あるるで活動、現在、NPO法人あるる代表理事、都島区自立支援協議会委員長。

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