特定非営利活動法人 ゆめ風基金

特定非営利活動法人 ゆめ風基金

〒533-0033:
大阪市東淀川区東中島1-13-43-106

TEL:06-6324-7702
FAX:06-6321-5662

MAIL:info@yumekazek.com

障害者救援活動にご協力ください

障害者救援金
送り先
郵便振替口座
00980-7-40043
ゆめかぜ基金
その他の振込方法

ゆめごよみ風だより No.89 | 2019/12/5発行

南海トラフ大地震に私たちはどう備えるか?

vol.0930年後の被災地で誰一人取り残さない社会を実現するには

立木 茂雄

今、私たちができることは、60代半ばから70代前半までのプレミアム世代がより積極的に地域の活動に関わるための「呼び水」になる取り組みを、積極的に進めることである。安全・安心を住民みずからが率先して実現していく防災の活動も、そのような呼び水になる。しかも、その取り組みが「誰一人取り残さない」防災活動となるためには、何が大事になるのだろう。神戸市消防局で長年にわたり自主防災組織の取り組みに関わってきた松山雅洋氏の最新の研究成果をもちいて、重要なポイントを紹介しよう。
神戸市の自主防災組織は、防災福祉コミュニティ(俗に防コミ)と呼ばれている。神戸市内には187の防コミが存在するが、松山氏はその全てについて、災害時の要配慮者の情報を地区で共有化しているか、あるいはそれをもとに一人ひとりの個別支援計画の策定ができているか調査した。その結果、2017年1月の時点で、リストの共有化ができている地区は38地区、そのうち個別計画の策定までできている防コミは34地区にのぼることがわかった。そこで、このような「誰一人取り残さない」取り組みのある地区とそうでない地区の違いは、どこにあるのか検討した。
その結果、市や区の自立支援協議会(自立支援協)と交流があり、自立支援協が主催する障がい者の防災を考えるワークショップへの防コミ役員の参加があるほど、また障がい者が防災訓練にも参加しているほど、さらには障がい者だけでなく、地域コミュニティの活動にできるだけ多様な人たちが参加しているところほど、名簿の共有や個別計画の策定が進んでいることを発見した(下図参照)。
人と人とのつながりには、結束型と橋渡し型という少なくとも2つの種類がある。障がいのある・ないも含めて多様な人たちが参加する、橋渡し型のつながりのあるコミュニティほど、誰ひとり取り残さない防災と親和性が高かった。一方、内輪の共通の興味や関心を高めるような活動に熱心な、結束型の強いコミュニティでは、障がい者も含めた防災には消極的になる傾向が見られた。
誰ひとり取り残さない防災の肝は、自立支援協のような障がい者のコミュニティと、自主防災組織という地域コミュニティを連結させることにある。そのためには、それぞれのコミュニティ内で多様性を尊重する橋渡し型のつながりが生まれていると同時に、このふたつを意図的に連結させる働きかけが大事になる。実は、神戸市の各区の障害福祉課の職員が、その連結の労をとっていたことも松山氏の研究は明らかにしている

自立支援協議会WSへ不参加の防コミの場合、145の防コミが名簿共有・避難計画策定できておらず、28の防コミはいずれかができている状態。参加している場合は4つの防コミができておらず、10の防コミはいずれかができている状態。当事者が避難訓練に参加していない防コミの場合、141の防コミが名簿共有・避難計画策定できておらず、15の防コミはいずれかができている状態。参加している場合は8つの防コミができておらず、23の防コミはいずれかができている状態。

©ゆめ風基金