特定非営利活動法人 ゆめ風基金

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ゆめごよみ風だより No.88 | 2019/9/12発行

南海トラフ大地震に私たちはどう備えるか?

vol.082015年の和歌山県が100人のムラだったら

立木 茂雄

2015年の和歌山県が100人のムラだったら

今後30年以内の南海トラフ地震の発生確率は80%になると見積もられている。そのとき、被災地はどのような社会になっているのだろう。それを読み解くひとつの手がかりは人口の推移から得られる。国立社会保障・人口問題研究所の『日本の地域別将来推計人口(2018年推計)』では、2015年の国勢調査の結果をもとに2045年までの各地の人口構造を予測している。図1は、2015年の和歌山県が仮に100人のムラだったら、2020年から2045年までの5年おきの人口構成がどのように変わっていくのかをグラフ化したものである。2015年に100人のムラだった和歌山県は30年後の2045年には71人のムラになっている。そのうち生産年齢人口と呼ばれる15歳から64歳までのグループの減りようが著しい。2015年には57名もいたこの年齢の人たちは、30年後には35名と22名分も減ってしまう。生産年齢、つまり税金の担い手層が2015年から22名も減る、ということは、税金を使って公共事務を営むムラの行政は、30年後には現行より歳出を22名分、つまり4割弱カットする必要に迫られることを意味する。

2015年は0-14歳11人、16-64歳57人、65-74歳16人、75歳以上16人。2020年は0-14歳10人、16-64歳53人、65-74歳16人、75歳以上17人。2025年は0-14歳9人、16-64歳50人、65-74歳12人、75歳以上19人。2030年は0-14歳8人、16-64歳45人、65-74歳12人、75歳以上19人。2035年は0-14歳8人、16-64歳43人、65-74歳12人、75歳以上18人。2040年は0-14歳8人、16-64歳38人、65-74歳12人、75歳以上17人。2045年は0-14歳8人、16-64歳35人、65-74歳11人、75歳以上17人。
ある地域の人口を100人のムラにたとえ将来の人口予測データを見える化するアイデアは、人と組織と地球のための国際研究所代表の川北秀人氏からご教示頂いたものである。
ムラの公共事務の担い手としてのプレミアム世代

海トラフ地震による津波に襲われる和歌山県の太平洋沿岸部の自治体は、これからの30年間で人口減少がさらに進み、現行より4割弱も防災・減災対策に割ける人手や金を減らさざるを得ない状況になっている。そのような人口減少社会は、農山村の過疎地社会ではすでに出現している。このような過疎地域を長年にわたりフィールド調査をしてきた社会学者で熊本大学名誉教授の徳野貞雄氏は、「限界集落」とまで呼ばれたこのような過疎地域が消滅することなく、しかも地域の生活が維持されているのは、60代から70代半ばまでの時間とゆとりがあり、しかも体力的にも元気な層が、自発的な公共の担い手として活躍してきたからであるとし、この層を「プレミアム世代」と命名した。
2015年が100人のムラだった和歌山県には、プレミアム世代に相当する65歳から74歳までの層は15名いた。この層は30年後には11名と4名の減に踏みとどまっている。この層の人たちの活躍が、南海トラフ地震津波災害にそなえ、そしてこれを乗り越えていく時の大きな切り札になりうる、という視点に注目する必要がある。

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