特定非営利活動法人 ゆめ風基金

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ゆめごよみ風だより No.85 / 2018/12/1発行

南海トラフ大地震に私たちはどう備えるか?

vol.05「災害時要支援者」支援の制度的課題と提案 前篇〜避難行動要支援者名簿〜

事務局長 八幡 隆司

今年6月から9月にかけて災害が多発しています。事務局はその対応で大わらわなのですが、その中で気になったのが、「避難行動要支援者名簿」(以下、「要支援者名簿」)による安否確認と福祉避難所の設置時期の問題です。
大阪北部地震は震度6を記録しています。しかし「要支援者名簿」はほとんど活用されませんでした。北海道胆振東部地震でも、確認のとれた札幌市については同じことが言えます。
そもそもこの「要支援者名簿」には、災害発生前に行政から町内会や自主防災組織への情報開示を同意している人の名簿(いわゆる「同意名簿」)と、そのような同意がなく災害発生後に行政が法律に基づき開示する名簿(「不同意名簿」)があります。今回の一連の災害では「同意名簿」すら十分な活用ができていませんでした。
今号と次号の2回にわたり、「要支援者名簿」と福祉避難所を取り上げ、南海トラフ地震に備え本当に障害者にとって必要なことについて考えたいと思います。

問題点1

名簿活用の基準が明確でない

どのような災害レベルで名簿を使用して、要支援者の安否確認および避難誘導をすればよいのかという基準が明確でなく、行政から「同意名簿」を預かっていても町内会等が動けなかったケースが多く見られました。また、災害が起きる前に要支援者と顔合わせもしていなかったケースも多く見られました。「名簿は校長室の金庫にしまってある」「名簿のことはすっかり忘れていた」という事例もありました。「不同意名簿」については、町内会等に開示したところはほとんどありませんでした。

先進事例紹介

一方で名簿活用の基準や方法を定めている自治体もあります。例えば立川市では、「同意名簿」に基づく安否確認を震度4以上の地震で実施すると規定していますし、松本市では、「不同意名簿」についても震度5弱以上で提供すると決めています。また東京都中央区では、町内会等に「安否確認チェックシート」を配布し、「同意名簿」に掲載されている相手を訪問し、チェックシートに基づいて確認することになっています。名古屋市では居宅サービス事業者が利用者の安否を確認し、市に報告するという協定を結んでいます(出典「2017年3月内閣府避難行動要支援者の避難行動支援に関する事例集」)。

問題点2

安否確認のための連絡手段と確認内容が十分に有効でない

行政から町内会等に提供される「要支援者名簿」には固定電話しか掲載されていません。熊本地震では、電話が通じない人には、直接訪問しましたが、全壊や大規模半壊の家屋の住民の多くはすでに避難しており、安否確認の際「留守」とされてしまいました。

改善策の提案

大阪北部地震では要支援者宅に電話が通じないことが多く、福祉サービス事業所からのメールによる安否確認が役立ちました。企業の中には、災害時の社員の安否確認にメールを活用した災害想定訓練を行っている所があります。「要支援者名簿」にメールアドレスも記載し、安否確認に活用してはどうでしょうか。
また安否確認の内容についても単に「無事ですか?」と聞くだけでなく、具体的にどのような困りごとがあるのかをきちんと聞けるように事前に準備しておくことも大切です。たとえ体は無事でも、停電でマンションのエレベーターが使えず買い物に行けなくなっている場合もあります。

次号では、福祉避難所の課題と、その改善策を考えます。

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