ゆめ風基金

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ゆめごよみ風だより

No.822018年2月6日発行

原発事故避難者報告

2011年の東日本大震災では、福島第一原発事故に伴う放射能汚染が発生したことで、避難指示区域以外からも避難した人々が多くいます。事務局の東もその一人です。今回は東京から北海道に避難された安積遊歩さんに、現在の活動について寄稿いただきました。

涙について。

安積 遊歩

yuhoumi@gmail.com
左が遊歩さん。娘・宇宙(うみ)さんと一緒に

私は障害を持って生まれた。骨が脆く、今まで二十数回骨折している。八回程手術もされた。だから痛くて本当に良く泣いた。特に赤ん坊の頃は男性ホルモンを一日おきに打たれているので、痛みや医学の理不尽さに泣き喚く日々だった。

母は私の涙を本当に良く聞き続けてくれた。私があまりに泣くので看護婦や医者はなだめようとするが、多分母は痛いのだから泣くのは当たり前とばかりに私の涙を全く止めなかった。

私はピアカウンセリング*に出会った時、涙や笑い、震え等は悲しみや恐怖、辛さなどの感情から回復するプロセスであると知り、その理論に魅了された。

私は母には涙を止められた経験はない。しかし彼女以外の大人たちには叱られ、泣いてはいけないと言われまくった。私の涙は痛いのだという状況を表現し、痛みを強いてくるなという激しい抵抗でもあった。

母も良く泣く人だった。母の涙は私を助けられないという罪悪感や無力感を吐き出し、そしてどうやったら助けられるのだろうという混乱を整理するものであったと思う。

私たちは、泣くことに弱いこと、大人気ないこと、感情的であって良くないことというネガティヴなイメージを持たされている。しかしそれは間違いだと、わたしはピアカウンセリングの実践の中で確信的に気づいてきた。泣いたから悲しみ、混乱しているのではない。泣く前に悲しみや混乱がすでにそこにあるのだ。そこから回復するためのプロセスが涙や震えなのだ。言って見れば、涙や震え、笑い、ときにあくびも体が持っている自然治癒力である。

にも関わらず、医学も教育も子育ても、それらを封じ込めるように全てデザインされているかのようだ。人はよく考えようとするから、涙や笑い、震えを身体に起こすのだ。

わたしは障害を持つ仲間たちが自立生活を実現するためにこの方法を全国に広げてきた。同じ立場性や特徴を共有し合うもの同士、差別されたときの悲しみや辛さに留まらない方法として聴きあうという方法は非常に有効なのだ。

東日本大震災、そして原発事故が起きた時、わたしはテレビの画面の前で一時呆然とした。しかしそれが過ぎると、悲しみや悔しさ以上にあまりの恐怖で歯ががちがちと鳴った。震えは深い恐怖からの回復のプロセスである。

身体がその恐怖に支配されて動けなくならないよう応援してくれるのだ。そして、その震えがおさまっていくに連れて、その後何をしたいのかするべきなのかが見えてくる。

わたしは今北海道に住んでいる。ここには多くの原発被災者が避難していると言われている。わたしはその中でよく考え、行動できる仲間を増やしたくて、ピアサポートグループを作り、聞きあっている。時間を対等に分け、会話ではないコミュニケーションの場を持つことで少しでもより良く行動したいと考えている。そうしたことに興味や関心があれば是非、連絡してほしい。

*ピアカウンセリング 当事者同士が互いに平等な立場で話を聞き合うことで、互いをサポートする、カウンセリングの一種

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