ゆめ風基金

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ゆめごよみ風だより

No.772016年12月6日発行

10・9シンポジウム
大規模災害
いつまで続く 取り残される障害者

東日本大震災と熊本地震
障害者の避難状況はどうだったのか
障害者はどう避難すればよいか

防災シンポジウムは準備した200部の資料がなくなるほど大盛況でした。東北や関東四国などかなり遠方からもたくさんかけつけて下さり、本当にありがとうございました。

基調講演では立木さんより次のようなお話がありました。

「東日本大震災で障害者の死亡数が一般の人に比べて2倍といわれているが、細かく見れば宮城の在宅障害者の死亡数が高いことが分かる。施設にいれば安全、ではなく、地域で暮らす障害者の安全性を高めることが不可欠。それには石巻市八幡町のように地域で障害者の見守り体制を作ることが一番。昨年仙台で世界防災会議が行われたが、そこでインクルーシブ防災ということが言われた。それは“誰も排除しない、されない、させない”防災の体制を作っていくこと。熊本地震では熊本学園大学がまさに合理的配慮を行う避難所を作った。あるホテルでは駐車場に避難している人のうち、高齢者、子ども、女性を優先してホテルを使ってもらった例もある。神戸では「地域力が高い所ほど要援護者の避難支援ができる」と答えている。今後は地域力を高めて、誰も排除しない避難計画を作ることが重要だ」。

後半のシンポジウムでは吉村さんから「大学では1年前から大学が避難所になったらどうなるか?障害のある学生をどう守るかなど試行錯誤を繰り返していた。その結果が今回の避難所につながったんだと思う」と話され、植田さんからは、当事者の立場として「一般の避難所には僕たちは行けない。友達が一般の避難所へ避難しに行ったら、ケガもしていないのに救急車を呼ばれたという事例もある。障害者にとって一般の避難所はトイレも使えない過酷な環境」と話されました。

では、福祉避難所とはどういったものなのかと阿部さんに尋ねたところ「事前に思っていた協定と実際とはずいぶん違う。とにかくマンパワーが不足していた」。鈴木さんからは「自分も24時間勤務みたいになって、どこまで仕事かボランティアかはわからなくなった」と話されていました。

今後どうしていけばよいかということについては、植田さんより「本当は障害者が福祉避難所を求めるよりは一般の避難所が合理的配慮をしてくれることが大切」と言われたように、ふだんからの地域づくり、近所の人との関係性を大切にしながら、障害者=福祉避難所ではなく、一般の避難所で障害者が避難できることを求めることが重要であると異口同音に話されました。

シンポジウムに登壇いただいた方、また参加くださった方々に改めてお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました(シンポジウムの内容をホームページに掲載する予定です)。

報告者
事務局 八幡 隆司
基調講演
立木茂雄さん(同志社大学教授)
パネラー
鈴木徳和さん(社福石巻祥心会)
阿部一彦さん(社福仙台市障害者福祉協会)
吉村千恵さん(熊本学園大学水俣学研究センター)
植田洋平さん(自立生活センターヒューマンネットワーク熊本)

シンポに参加して

NPO法人あるる 代表理事 鳥屋 利治

私は今年8月、熊本地震障害者救援本部関西実行委員会のうちの一団体(CILあるる)として各団体の代表と共に熊本の被災地を訪問した。関西実行委員会として5月から各団体がボランティア派遣をしているが、その総括と今後の方向性を議論する会議開催のためだった。今回のシンポジストの一人であるヒューマンネットワーク熊本の植田さんとはその時以来の再会だった。

シンポジウムでは福祉避難所のあり方が議論されていた。私の住む大阪市の場合も災害時に障害者や高齢者が直接、福祉避難所に避難するのではなく一旦一般避難所に行きそこから必要に応じ福祉避難所に避難することになっており、福祉避難所がどこなのか住民には知らされていない。そのためほとんどの人が福祉避難所を知らないということになる。

また、私たちが活動する都島区の自立支援協議会でも、福祉避難所に行く必要のある人を誰が一般避難所でトリアージするのかという議論もなされたが、そもそも重度の障害者であれば一般避難所にすら行くことが出来ず家に取り残され、その障害者の安否確認や救援を誰ができるのかということになる。

大阪市では要援護者見守りネットワーク強化事業により、支援を必要とする人の要援護者名簿を各区地域で作り、日ごろの見守り活動や災害時の避難支援に役立てる取り組みが始まっている。

障害者があたりまえに地域で暮らし、地域の中でつながりを作っていくことが急がれる。私も重度障害者の一人。地域のネットワーク作りが改めて重要だと感じている。

NPO法人ちゅうぶ 自立生活センター・ナビ 小坪 琢平

企画に参加したきっかけは、東日本大震災と熊本地震と大きな地震が短い周期で起きていて、大阪でいつ起きてもおかしくない状況は続いているので、今改めて考えないといけない事のヒントを探るためです。今回の企画で印象的だったのは主に二点あります。

一点目は阪神大震災、東日本大震災、熊本地震などそれぞれの地震の教訓や反省が積み重なっておらず、車いす用の仮設住宅であっても実際には使いにくい使えないものになってしまっているという話。

二点目はヒューマンネットワーク熊本からの報告のあった、避難所を運営する側の無知から来る「非常時だから障害者だけ特別扱いするわけにはいかない」という発言があったという話。この二点を解決させるためには具体的に何に取り組み、何処にどうアプローチをしていくのがいいのだろうと考え込んでしまった。

今回の学習会を通して「非常時だからこそ自分に必要な配慮を求める事の重要性」、「被災したらどう動くのかをシュミュレーション」、それに加えて「近所の人と関係性を作っておく」など今後取り組むべきことが明確になった気がします。

社会福祉法人ゆうのゆう 職員 長崎 茜

災害時の「避難」と「避難生活」に対して、私の働いている施設でも「いかに地域の方々の協力を仰げるか」が課題になっています。避難するとなると、普段車いすで移動されている方々を、一人ひとり車いすを押して避難するのでは施設職員だけではとても人手が足りない。東日本大震災時の話を聞くと、呼吸器・吸引器・経管栄養・薬など医療的ケア物品については少しでも持って逃げなければ、という不安があります。熊本地震で、トイレを気にして水分を我慢する高齢者や障害者の話は、避難所でのハード・ソフト両面のバリアを突きつけられた感じでした。

私たちの施設には20人前後の重度心身障害者が通所されていますが、専用の避難所として、ご家族のつながりで指定避難所の隣の高校の一室を開けてもらえることになっています。熊本学園大学での、普段からの関係作り、防災への取り組みが活かされた話を参考に、より具体的にBCPを検討したい、と思いました。

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