ゆめ風基金

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ゆめごよみ風だより

No.772016年12月6日発行

相模原障害者殺傷事件について思うこと

自立生活夢宙センター 大橋 グレース 愛喜恵

1988年、福島県生まれ。父が日本人、母がアメリカ人のバックグラウンドを持つ。8年前に多発性硬化症と診断され、2011年に、大阪市で自立生活スタート。現在、自立生活夢宙センターのスタッフとして、「どんなに重度でも医療的ケアが必要でも地域で自分らしく生きることができる」ことを伝える活動や、アドボカシー活動をしている。

7月26日に神奈川県相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で起きた障害者殺傷事件は、日本だけではなく、世界に衝撃が走った。何より、私たち障害当事者の心に大きな傷を残した。なぜなら、私たちの大切な仲間の命が、犯人の勝手な考えの元、一瞬にして消し去られたからだ。しかし、それだけではない。この事件の後、その犯人のことをヒーロー化しているネット社会や、犯人の気持ちに共感している人がたくさん出てきた。これは、この事件の犯人の発言である「障害者はいなくなればいい」といった考え方を肯定的に捉えている人がまだたくさんいるということである。

私は、人工呼吸器を必要とし、常時介助が必要な重度障害者で、なおかつ、発達障害というコミュニケーションや対人関係に難しさを抱えている。しかし、だからといって、生きている価値がないとは決して思わない。そして、この世でどのような理由があったとしても、生きている価値のない存在などないと私は確信している。

犯人の発言である「障害者はいなくなればいい」など、決してないということを、自分たち障害者が地域に出て、胸を張って伝えていくこと。今までも、障害者運動で、障害者が地域に移行することの大切さを訴えてきたと思う。だがこの事件で犯人の気持ちに流されそうになっている人や傷ついた仲間のためにも、改めて力強く「この世で存在する意味のない人は決していないということ」を私たち一人ひとりが伝えていき、インクルーシブな社会にしていくことが、私たち地域に生きている障害者の使命ではないかと思う。

また、今回の事件は、施設という閉鎖された空間の中で出来上がった元職員の歪んだ障害者への差別的思想と、施設という箱物の中にたくさんの障害者がいたからこそ、沢山の仲間が殺傷されるという結果になった。

この事件を繰り返さないためには、どのような障害があっても、社会の一員であり、地域に生きる権利がある、いち人間であることを国にもっと強く訴えなければならないと感じた。この事件後、措置入院の強化、退院後の監視強化、施設・病院の閉鎖性を高めようという動きが出てきている。国の方でも、この事件後に行なった対策は施設のセキュリティーをしっかりするようにとの通告をしたことぐらいだ。障害者をひとつの建物に押し込め、セキュリティーを高めたところで、どのような社会がうまれるのだろうか?すべての人が尊厳と基本的人権を有し、かけがえのない社会の一員であり、地域で安心して生きていける制度、基盤作りを訴えることの大切さ。それが、もう一つ、この事件を通して感じたことだ。

いつの日か、障害の有無に分け隔てられることなく、色々な人が社会の中で生きているインクルーシブ社会が当たり前となり、その中で、それぞれがお互いの存在を認めあえる社会になることを切に心の底から願う。

それが、この事件を通して感じた多様性の重要性であり、二度とこのような悲惨な事件を繰り返さないために、私たちが今だからこそ、行動に出て示していかなければならないことだと強く思う。

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