ゆめ風基金

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ゆめごよみ風だより

No.722015年12月11日発行

2015年10月1日 朝日新聞記事

東日本大震災の移動送迎支援から
利根川・鬼怒川水害での被災地移動支援へ

被災地における障がい者、移動制約者への
移動送迎支援活動基金「ももくり送迎基金」

柿久保 浩次

台風17、18号による豪雨は9月10日、利根川・鬼怒川水系に甚大な被害をもたらし、国土交通省関東地方整備局管内の12か所が決壊した。そして、最も大きな浸水被害を被ったのが茨城県常総市だ。県対策本部の1ヵ月後の発表では「死亡3名、行方不明0名。全壊50件(常総市50件)、大規模半壊1109件(常総市914件)、半壊2969件(常総市2264件)。避難所数17、避難人数406人(常総市401人)」(10月10日現在)となっている。

この数字をどう捉えるかだが、常総市で自らも被災しながら、現地での被災者支援の中心を担うNPO法人 茨城NPOセンター・コモンズ(協働のまちづくり、在住日系人・在日外国人支援などに取組む)は10月5日、「支援いただいている皆様へ」で、「県災害対策本部によると、全壊50棟、……とのことですが、これは戸建てのみの数字です。一軒一軒声をかけて周りましたが、畳や床をはがした状態で、風呂も台所での料理も困難な状態です」と訴えた。

常総市内で撮影

被災現地のNPO団体と移動送迎支援ネットワークの結合

10月1日、10月5日の2回にわたって、黒澤さん(日本財団、被災地最前線のエキスパート)からの呼びかけに応え、村島(移動支援Rera)、伊藤(全国移動ネット)、高松(茨城福祉移動連絡会)、柿久保(ももくり送迎基金)らが常総市に集まり、NPOコモンズ内に「たすけあいセンターJUNTOS(ジュントス 「いっしょに」という意味のポルトガル語)移動支援」を立ち上げ、「移動送迎支援」と「カーシェアリング」の二つの方法を並行することを決定。呼びかけのチラシも「JUNTOS移動支援」で作成、配布している。

被災現地での自立に向けた支援体制の組み合わせ

「常総市水害対応NPO連絡会議」が毎晩開催されており、片付け、炊き出し、調査活動、行政・法律相談などと共に、「JUNTOS(Rera)」、「JUNTOS(ももくり)」、「JUNTOSほか」として、通院、通園、通学、一時帰宅、買い物等の移動送迎支援やカーシェアリングが議題として、毎日、集約されている。

「ゆめ風基金」の理解と協力を得ながら進めてきた「ももくり送迎基金」は、「阪神淡路大震災での教訓を活かし、障がい者の自立センターやSTS連絡会、ゆめ風基金や障がい者のネットワークの中で、災害時の“移動の確保”が大きなテーマである(2015年2月7日セミナーin滋賀)」として、東日本大震災の移動支援活動でも「短期と長期の組合わせ、拠点の維持、継続した支援」が迫られました。

利根川・鬼怒川水害をめぐって、被災地の拠点(NPO)との連携と、被災地移動送迎支援活動「ももくり送迎基金」の現地拠点“立ち上げ”における取組みの中で、今、一つの成長が問われている気がします。

移動送迎支援のちらし

事務局より

東日本豪雨水害の障害者活動拠点などの被害について、ゆめ風ネットや連携団体と連絡をとりあい、被災地の障害者活動団体の情報把握に努めましたが、被災情報はありませんでした。浸水被害を受けた常総市3か所の作業所とも直接お話を伺いましたが、市や助成団体からの支援があり、申請には至りませんでした。今後、移動送迎支援活動の中で、引き続き状況を把握しながら対応してまいります。会員のみなさまで被災情報をおもちでしたらご連絡くださいますように。なお「指定ご寄付」につきましては、被災状況に応じて必ずお届けいたします(橘高)。

地域防災計画をチェックして共生避難所をつくろう

インクルーシブ防災をめざして

ゆめ風基金八幡 隆司

またもや障害者が避難所に行けない事態が

9月に鬼怒川が決壊し、常総市を中心に大きな被害がありました。いくつかの仲間の団体が現地を訪問しましたが、障害者が避難所にいるという情報はわずかでした。これまで様々な災害が起こりましたが、まだまだ「障害者は避難所に行けずに、危険を承知で自宅で過ごすか、別なところに避難する」という例がほとんどです。

行政は、障害者の避難場所として「福祉避難所」を検討し、福祉施設をはじめ、ホテルを含む様々な施設と「協定」を結ぶ作業を進めています。しかしその内容は「福祉避難所は二次避難所なので災害時に直接、福祉避難所に行かないでください」(自治体ホームページより)、「福祉避難所は家族単位の避難はできないのであきらめた」(東日本大震災被災障害者の証言)、「介助者が必要な人は1名まで受け入れます」(堺市福祉避難所のホームページより)など、惨憺たるものです。この様な協定をどんどん結んで「障害者の防災対策をしている」という姿勢そのものが問題だと思います。

インクルーシブ防災は世界の潮流

今年3月に仙台で開かれた国連・防災世界会議ではアメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁(FEMA)のマーシー・ロスさんが「アメリカでは緊急的な疾病の場合を除き障害者を集めたりしない。福祉避難所も作らない。平常時も非常時もコミュニティの中で安全で合理的な配慮を行うように。情報へのアクセスを保障するように、連邦政府から各州に要請している」と報告しました。

今回の世界会議では「インクルーシブ防災」の重要性が打ち出されました。「インクルーシブ防災」とはだれも排除しない、障害者のニーズを特別なニーズとしてとらえるのでなく、様々な人たちが持つ個性的なニーズととらえること、そしてそのニーズに応えることが当然のことだ、という防災の考え方です。

行政は福祉避難所よりも福祉避難室の確保を

現在の福祉避難所協定では、あくまで福祉避難所は二次避難所であり、災害時、障害者はまず一次避難所である地域の指定避難所に避難することになっています。しかし、既述のように「障害者には過ごしにくい」となかなか指定避難所に行かないのが実情です。福祉避難所が二次避難所であるならば、真っ先に逃げ込むことになっている指定(一次)避難所の中に福祉避難室を確保すべきだと思います。

京都府では、「福祉避難コーナー設置ガイドライン」をつくり、指定避難所でのコーナー設置場所や、避難所をバリアフリーにするための改善点、また「福祉避難サポーター」の養成方法までかなり細かくその中に盛り込んでいます。大阪府箕面市で作られた避難所運営マニュアルにも、障害者や高齢者などは体育館でなく「配慮の必要な方の避難室」を作り、そこに入ってもらうことを盛り込んでいます。このように福祉避難室(コーナー)を設置するには、日頃から避難所開設訓練を行うことが必要です。

事務局だより

ご近所の小学校では「ユニバーサルデザイン製品をつくる」という学習に取り組んでいます。そのプロジェクトにゆめ風の障害者スタッフが参加しています。10月は避難所シミュレーション。5〜6人の各斑で「目が不自由な方」「耳が不自由な方」「車いすの人」「妊婦さん」「お年をとった人」「音がすごく気になる人」「じっとするのが難しい人」「犬を連れてきた人」と書かれた札を大きな模造紙を避難所に見立てて貼っていく作業。意見を出し合い、考えを深め、「気づき」から実践的態度の育成につなげる学習です。避難所でどうしたらいろんな人が少しでも過ごしやすくなるのか、キラキラした瞳で懸命に考え語る姿が、車いすから見ていて頼もしく感じました(千夏)。

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