ゆめ風基金

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ゆめごよみ風だより

No.682015年2月1日発行

リレー・エッセイ 災害と障害者 第46回

人との出会いがもたらしてくれるもの

私は、10数年前まで親元で平凡な生活を送っていました。あるとき、おもしろい人たちと出会い、その人たちとのつながりから現在、一緒に活動している仲間と出会いました。

それから、私の人生が大きく変わり始めました。自立生活運動をまったく知らなかった私たちが、時代の流れもあり、ただなんとなく暮らしていた生活から、今では自分たちで事業所を運営し、ライフワークとして、様々な人たちと自立生活運動に取り組んでいます。

この活動を始めた当初は、自分自身のことが好きではありませんでした。

幼いとき、いつからか、まわりの人たちとの違いを感じ始め、劣等感や挫折感をたくさん味わい、障害をもっていることを不幸だと思いながら大人になりました。しかし、その考えを大きく変えてくれる出会いや出来事をたくさん経験しました。

当時、重度障害者が「障害をもっている自分のことが好きだ」と宣言していたのには、正直びっくりしました。私には、そう思える出来事やそのように宣言する仲間(ロールモデル)がそれまでいませんでした。だから、そのような考え方を自分のなかで実感するのに、かなり時間がかかりましたが、ピア・カウンセリング*と出会い、少しずつ自分のなかで、そう感じられるようになり始めました。ピア・カウンセリングは、私の人生そのものを大きく変えてくれましたと宣言できるほど、私にとって、なくてはならないものとなっています。それをたくさんの仲間にも体験してもらうために、ピア・カウンセリング講座を全国で開催しています。昨年、宮城県仙台市の「たすけっと」でも公開講座をしました。ピア・カウンセリング講座は、ロールモデルと出会え、自分自身を取り戻せる(エンパワメント)場所となっています。

話は変わりますが、私は、2012年に東日本大震災で多くの方が被災された宮城県石巻にある被災地障がい者センター石巻を訪れました。被災地の光景や被災者の話にただただ驚くばかりでした。その縁から、またいろんな人と出会い、昨年の夏に「関西なう」という活動に関わることになりました。 関西なうは、宮城県の障害をもつ子どもとその家族を関西に招いて、子ども同士の交流をはかったり、将来のことを考えるきっかけとして、自立生活者のお宅や事業所見学を行っています。これまで、20名近くの親子が訪れました。

その一組の家族とは、とても仲良くしてもらっていて、石巻を訪れるたびにお世話になっています。

私は、大阪府吹田市で生まれ、育ちました。ずっと団地で暮らしていて、現在、都島区のマンションで一人暮らしをしていますので、彼の住んでいる地域(石巻市北上)では、いろんな経験や学びがあります。家の前に畑があって、そこで収穫したものが食卓にあがるという生活が、私にとってはとても新鮮です。いわゆる田舎生活が体験できます。

しかし、そこで暮らしている彼にとっては、震災が起こったことで受けた出来事や、社会資源やマンパワーが少ないために強いられている生活状況のなかで、「障害をもっている自分自身も大切な存在なのだ」と実感できることがこれまでは少なかったのだと、彼や彼の家族から話を聞いて思いました。

彼が暮らす地域は、移動は自動車です。両親が働いているため、ほとんど家で、祖父母と過ごしています。ガイドヘルパーを頼んでも、人がいなくて、思いどおりに外出することができません。彼が、自分自身の生活を選択し、決定していくことができません。車椅子の私も彼の地域を訪れると、自由を奪われたり、力をそがれる場面に出くわします。

そういった状況ですが、こちらに来てもらって、たくさんの仲間と出会い、様々な経験をするなかで、将来の生活を考えていくようになったそうです。支援学校卒業後は、こちらへ修行に来るのだと言っています。こちらには彼の生活を助けてくれる人が、たくさんいます。彼自身が、いろんな人たちとのつながりを築いてきました。彼は、人と関係を作ることがとてもうまく、今後地元でも人と人とをつなげる担い手として、また石巻地域の当事者リーダーとして、活動してくれることに期待しています。

私は、これまでピア・カウンセリングや被災地での活動をとおして、たくさんの人と出会うことができました。それがきっかけで、様々な経験もでき、日々エンパワメントされています。

これまで、先輩たちが自立生活運動を推し進めてきて、障害をもつ私たちが地域で、自由に生活することが可能となってきました。それが、まだ都市部だけにしか広がっていないので、石巻を始め、東北全体にも大きく広がるように活動していきたいと思います。

*ピア・カウンセリングは、よく似た背景や共通の体験をもつ人同士(ピア)が話の聴きあい(カウンセリング)をとおして、これまで封じ込めていた気持ちを解放し、共感し合って、人が本来もっている力を取り戻します。人は本来、みなぎる力と喜びにみちあふれ、素晴らしい可能性をもって生まれてきます。エンパワメントとは、そのような力を取り戻すことで、ピア・カウンセリングはエンパワメントの手法の一つです。

安原(やすはら)美佐子(みさこ)
軟骨無形成症という生まれつきの障害をもつ。高校卒業後に一般就職し、13年前に仲間とともに自立生活センター・あるるを設立。現在は生活介護事業所、作業所「あるくる」の管理者。昨年から東北へ度々、遊びに行っています。まもなく40歳になります…

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