ゆめ風基金

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ゆめごよみ風だより

No.562012年2月6日発行

リレー・エッセイ 災害と障害者 第三十七回

アクセスの壁

私は「被災地障がい者センターみやぎ・石巻支部」で当事者スタッフとして活動しています。

この「被災地障がい者センターみやぎ・石巻支部」は、石巻市の蛇田に、「ゆめ風基金」を中心に全国のいろいろな福祉団体からの援助もあり、昨年10月から事務所を開いております。

まだ開設して2、3か月と日が浅く、私達も右も左もよくわからないまま活動していますが、今後に向けて少しでも障害者福祉に関する制度や知識を身につけて、私達の活動に役立てていきたいです。また、私達の事務所は現在私を含め、3人の障害当事者が中心になり、他は県内外からのボランティアスタッフのサポートによって運営していますが、いずれは宮城県内に在住の方の中から障害の有無を問わず、私達の活動に参加したいという仲間と職員を増やしていければと考えております。

さて、私がなぜこの被災地障がい者センターでの活動に参加したかというと、やはり昨年の東日本大震災が大きな転機でした。

私の家は宮城県石巻市の隣の東松島市にあり、航空自衛隊の基地のそばに住んでいました。あの地震と津波が押し寄せた当日、私は、家にいた母と祖母と共に家の2階に避難し、その後市役所に二日ほど滞在してから、市内の叔父の家に約2か月間避難しました。

その避難生活の中で、私達当事者は、やはり健常な方以上に生活が不便になりました。特に自分のように身体障害を持っていたり、呼吸器が必要な人にとって、この震災後の数か月は非常に困難なものだったはずです。私も震災後1か月半くらいは、停電のおかげで電化製品が使えず、親しい人と連絡が取れませんでしたし、普段利用している交通機関が震災で使えなくなり、遠隔地への移動が難しくなったこと等、色々と生活の中で困難な面が出てきました。それは2012年を迎えた今になっても、改善されてはいません。

そのような中で、私も何度か地元から離れようと考えていました。そして昨年の8月の初頭に、しばらく会っていなかった地元の当事者の方と再会しました。彼は先の震災で実家が跡形もなくなり、今は仮設扱いの復興住宅に住んでいるとのことでした。そこで、彼がゆめ風基金やCILを中心に全国の色々な福祉団体の皆様と連携して障害を持った方に物資を届ける等の被災地支援を行っていること、近いうちに石巻市に新しく事務所を立ち上げて当事者の目線で石巻地域に住む障害者が自立した生活を送れるためのサポートをしていきたいと考えていることを知りました。私は彼の考えに共感し、もう少し地元で頑張ってみようと思い、今まで活動してきました。

そして、「被災地障がい者センターみやぎ・石巻支部」での活動を通して、石巻地域における障害者福祉の問題点が徐々に見えてきました。まず一番に感じたのは、地元は障害者福祉に関して閉鎖的であることですね。震災前からそうですが、地元では外を歩いていても障害を持った人がほとんど見当たらないのです。知的障害や精神障害の方は時折見かけますが、身体障害の方はまず見当たりませんでした。私は外出するのに、市に申請して購入した電動車椅子を使用していますが、地元でそうしたことをしているのは私だけのようです。身体障害を持った方はもっといるはずなのに何故使わないのか以前から疑問でした。また仮設住宅や店舗に、バリアフリー対応を謳っていても実質的には機能していない部分も多くあります。例えば、スロープを設置しても傾斜が急すぎて使えない、その周りが砂利のため移動困難、出入口が狭過ぎる等の事例がざらにあります。

先に挙げたことは身体障害を持った自分の視点からの話ですが、何故ここまで障害者を考慮していない社会になっているかというと、一概には言えませんが、今まで自分を含めた当事者が地域を住みやすくするために声を上げてこなかったことがあると思います。この活動を通して他の地域の当事者と知り合う機会が増え、色々な話を聞きました。特に関西地方では自治体や政府と交渉を繰り返し周囲と連携を取りながら権利を勝ち取ってきたそうです。では何故今まで私達がそうしなかったのかというと、当事者や家族が、施設に行くのは仕方のないこと、自分や家族の障害が恥ずかしい等と考えて現状に満足し、甘えていたことがあるのではないでしょうか。

被災地障がい者センターでの活動を通して、もっと障害者福祉についての知識を深め、サービスの使い方を地域に住む方々に知ってもらい、自分の判断で色々な生き方を選べる社会にしていくべきだと痛感しています。石巻地域ではこれから新しい街づくりが本格的に始まります。だからこそ、当事者が市や県そして政府に働きかけ、障害者を含めたすべての住民が生き方を選択できる良いチャンスだと思います。今後とも色々な面でお世話になりますが、ぜひともよろしくお願いします。

石森(いしもり)祐介(ゆうすけ)
生年月日:1985・9・15 東松島市在住 障がい名:脳原性麻痺による運動機能障害 現在:被災地障がい者センターみやぎ石巻支部で当事者スタッフとして活動中 目標:相談業務に対応できるようになる為に講習を受けたり、障がい者福祉に関する法律を勉強中。 福祉用具:電動車椅子と四点杖

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