ゆめ風基金

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ゆめごよみ風だより

No.522011年3月4日発行

リレー・エッセイ 災害と障害者 第三十三回

福祉避難所の調査活動にかかわって

阪神淡路大震災から十六年のときが経過しました。大阪府内とはいえ少し東よりの自宅はほとんど被害はなかったのですが、被災地域に住んでいた一人の友人を亡くしました。その後立ちあげられたゆめ風基金の活動にはこれまで直接かかわってはいなかったのですが、たまたま縁あって、一昨年から半年余りの間、大阪市城東区での「福祉避難所計画策定のための調査事業」にかかわることになりました。

といっても直接調査に回るのではなく、私の役割は調査に関する事務仕事。調査員の皆さんが届けてくれた報告や、障害者などいろんな立場の人たちのアンケートを集計するといったことが中心でした。私は地域状況に不案内で最初はピンとこないことが多かったのですが、スタッフに教えてもらったり地図や写真とにらめっこしながらの報告をまとめる作業の中で、災害時の避難ということについては地域にかかわらず今もいろんな問題があることが少しみえたように思います。

普段の生活でも障害者が地域で暮らしていくには様々な問題がありますが、まして大きな災害があってそこらじゅうが瓦礫の山のような状況になったときに障害者が避難所にたどり着くまでがまず大変だということ。避難所に行ってもそこで一時期過ごせるためにはたくさんの条件整備が必要なこと。アンケートで、ご近所の人とは挨拶程度の付き合いしかないとか、介助の人がいないときに災害が起こったらどうなるだろうといった不安の声を読むと、思わず「私もこれに一票」なんて思ってしまいました。多動の人(だったかな?)の家族が避難所での団体生活に不安を綴られていたのも印象的でした。

その一方、障害者など要支援者についての情報不足や、実際にどうすればよいのか対応に不安を感じている民生委員さん、ネットワーク推進員さんの声もありました。バリアフリーなど物理的な問題だけでは済まないことがたくさんありそうです。城東区には定期的に防災訓練をするなど積極的な取り組みをしておられる地域もあったのですが、全国的にはそういうところはまだまだ少ないと思います。 私の住む団地では、過去に消防署の人が来られて消火器の使い方などをみんなに説明してくれたことがあったのですが、防災訓練となると聞きません(あんたが知らないだけやということだったらごめんなさい)。災害時には、何といっても地域の人たちの活動やそばにいる人たちとの理解がとっても重要なことだと改めて思いました。

そんなことをつらつら思いながら作業を進めていく中、啓発活動としての講演会、避難所実地体験活動にも参加させてもらいました。二度の大きな地震や雪害を体験し、そのたびに市役所で対策本部を立ち上げて活動された柏崎市の元福祉課長さんは、役所の人たちの役割、地域の人たちの連携など様々なことをお話ししてくださいましたが、普段からの日常的なネットワークづくりが大切だと言われていました。

また、実地体験では、福祉避難所の本部はどんなことをするといいだろうか、受付ではこんなカードを作ったらいい、避難所にはこんなものもあった方がいい、・・・等々、わいわいがやがやと大勢で試行錯誤する中から、さらに具体的な細かな課題が次々と現れてきて、とても興味深いものでした。

調査が終わり報告書がまとめられてほぼ一年になりますが、投げかけられた課題を一つ一つ拾いだし、整理し、クリアーしていくことは多くの時間と多くの人の理解やエネルギーがいる作業でしょうが、ほんの少しでもそこにかかわれたことは、ちょっと嬉しいことでした。

振り返って自分の暮らしを見渡せば、この間いろいろ見聞きし、感じたことは、もしかしてどれもこれもあの震災時からどこかに感じ抱いていたことだったかもしれません。地域の人のつながりといっても、日常の中でのことだけに糸口やスタンスの取り方が難しい面もありますが、この間あらためて得たいろんなことを肥やしにアンテナをのばしていこうと思います。

矢野(やの)恵子(けいこ)
脊椎破裂の障害をもつ。学生時代に受けた差別発言をきっかけに障害者運動を知る。二〇〇六年まで優生思想を問うネットワークの代表として活動。現在NPO法人ホープ共働舎職員。

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