ゆめ風基金

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ゆめごよみ風だより

No.362007年2月14日発行

リレー・エッセイ 災害と障害者 第十七回

私の防災 減災人生
障害があっても出来るボランティア

大堀さん、目が見えないのにどうやってものを考えるの?

この質問は、神奈川で防災リーダーをしているある男性がつい最近私に発した言葉です。冗談かと思ったら本気でした。私は呆気にとられてしまいました。

その方Oさんとは横浜で開催された「防災まちづくりコーディネーター養成講座」でお目にかかりました。六十何歳になるまで、一度も視覚障害者と関わりあったことがなかったそうです。今回十回連読の講座に同席して、視覚障害者の私が他の参加者と同様に発言したり、発表したりしていたので私が視覚障害者であることを信じられなかったと言いました。

Oさんのような方は稀だとしても、こんな考えの方が「避難所」のトップにいたら障害のある避難住民をどのように遇するのであろうかと心配になりました。その時の私の講座への参加目的の一つは、防災関係者に災害時における障害者の存在を考えてもらいたかったので講座参加は成功裏に終わったと思います。

私は阪神淡路大震災から十三回忌を迎えた本年、一月十七日の大雨の中、神戸中央会場で追悼式に参列しました。たった十秒で地獄の憂き目を見た街がどこまで復興しているのか、また障害者がどんな避難をしたのかなどをじかに確かめたかったのです。

私がこの大震災を他人事と思えない一つのエピソードがあります。それは、私の愛する全盲の夫と同じ病の被災者が避難所の寒さで発災後二日目に亡くなった事です。その方の死は私の被災への不安を増幅しました。

その後中越地震が起こり、かつての不安がまた頭をもたげてきました。

そんな時、忘れもしません。NHKラジオの特別番組「鎌田實 命の対話」が阪神淡路大震災から十年ということで神戸で開かれました。ゲストの一人は歌手の小室等さんです。この時、小室等さんが「ゆめ風基金」の事を話され、初めて障害者の為に頑張っている基金があることを知りました。番組では大災害時には未知の人達も助けてくれると証言していました。障害者夫婦の私達が被災したらどうなるのだろうという不安は安堵へと変わり、その気持ちを投稿したらラジオで読んでくれました。

これがきっかけとなり障害者を救済する方法が現在の社会の中にあるのだろうかと模索し始めました。それから二ヵ月後に地元で学習会「障害者の防災を考える会」を立ち上げました。メンバーは障害者(視覚・聴覚・精神・車椅子使用の肢体不自由)と、サポーターとして区内の防災のリーダー的存在の方々です。

話し合う内容は、避難所の備蓄倉庫に障害者特有の必需品の整備の提案、個人情報の書き込みカードの作成、中でも障害者を含む要援護者の個人情報の取り扱いは解決の難しい問題として大いに議論しています。今のところ最大の成果は私の住んでいる横浜市磯子区にも「災害ボランティアネットワーク」の組織が立ち上がったことです。更に、区の防災事業の計画の礎となる提案をしました。初めから区役所が話し合いに入ってくれたことは大きな成果をもたらしています。行政の危機管理担当者も障害者とわかり合うことで我々にとって有利な施策を実行してくれます。

この二年間の活動を通して最も成長したのは私自身かも知れません。最初に考えていた「誰か助けて!」がいつのまにか「私も助けます」となりました。

近所でも防災の話をするので、近くの肉屋さんはいざとなったら我が家に食料を届けてくれるそうです。「その時は分厚いステーキにしてね」と頼んであります。頼もしいでしょう!

大災害が起こったときは、近隣ともう少し大きいコミュニティ、更に全国各地から参集する災害ボランティアの優しい手が私たちを支えてくれる、そんな社会を目指しています。

私は地元から横浜へ、そして神奈川へ日本全国へと障害者の防災・減災活動の輪が広がることを祈っています。

まわりの方は障害者自らが立ち上がるのを待っていますよ。

大堀(おおほり)紀子(のりこ)
横浜市在住。中途失明の視覚障害一級。鍼灸師。全盲の夫と二人暮らし。「障害者の防災を考える会」の代表。趣味は読書、社交ダンス、ケーナ演奏、音楽鑑賞、お洒落など。

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