ゆめ風基金

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ゆめごよみ風だより

No.362007年2月14日発行

ネットワークからの風 届かない言葉 伝わらない智慧

「障害者市民」と防災ボランティア

宇田川規夫
らんがく舎(東京・大田区)
国際救急法研究所理事長
横浜災害ボランティアバスの会事務局長

災害で失われるものは何か、と聞かれれば誰でも「生命」「財産」などと答える。

では、それらを守るために真剣な対策を立てているだろうか?

「のどもと過ぎれば熱さを忘れる」日本人は、じっくり腰を据えて長期にわたり対策を練り続けることが不得手だと、防災ボランティア活動を長年つづけてきてつくづく思う。

そんな中、災害対応に「災害時要援護者」対策をきちんと取り入れる動きが加速している。

「要援護者」と聞いてまず思いつくのは、すべての人の行き先でもあるお年寄りである。「知的障害者」は最初に出てきにくい。そこに社会的参加度や日常の関係が見えてくる。防災訓練での要援護者対応では車椅子、手話通訳、外国語通訳などが多く見られるが「要援護者」はもっと多彩だ。防災訓練や防災計画に現実の社会の多彩さが正直に反映されていないと、災害時にはじき出されてしまう人がでてくる危険性を十分考慮しなければならない。

障害者=車椅子との発想は国際障害者年のキャンペーンから進歩していない。これは日本の学校が多様性を認めず、分離教育を進めて来た事とおおいに関係すると思う。その結果、災害対策においても、世の中にはいろいろな人がいるという当たり前の多様性を考慮出来ないことにつながる。

それを解決するためには、まずは当事者と周囲の者が災害を学び、必要な支援を要求する事から始めることが大切だ。

阪神大震災で車椅子利用者がトイレに不自由し「死ぬ思いだった」と語ってくれた状況は今も続く。当事者や支援者はしっかり見極めなければならない。防災では「平常時にできないことは災害時にもできない」という金言があることを知ってほしい。

昨年、近くに車椅子利用の友人夫婦が越して来た。友人の生活を間近に見て、改めて災害への備えの薄さと、災害が起きたらどうにも身動きできない彼らの状態を痛感した。友人宅の家具を固定しながら、車椅子利用者でこのような対策をとっている人が少ないのを知った。車椅子利用者宅の防災対策を支援しようとの動きが組織的に行われた話はあまり聞かない。これは防災ボランティアと障害者や家族、支援者がまだまだ出会えていないことの現われではなかろうか。

災害で失われるもの、それは命であり、日常の暮らしであり、大事な思い出である。それを防ぐのが災害対策だ。その対策を自分の力で十分出来ない人々には周囲が支援するのは当然の事で、そのためには防災ボランティアの学習も必要だ。そして双方がお互いを知ることが大切だ。

災害時にこそ「地域で共に生きる」が問われる。まだまだ障害者の声は対策を立てる側に届いていない。特に知的障害の人は本人からの意思表明が少ないからこそ、配慮が必要だ。周囲の者が積極的に災害時に困る事、事前に備える事を学ばなければならない。そして日頃から防災、減災のために活動しているボランティアと出会い、互いの智慧を伝え合うことが重要だ。

内閣府は防災とボランティアの週間に合わせ、毎年1月に「防災とボランティアの集い」を開催している。今年は「障害者市民防災提言集」の宣伝ブースを設けた。モノクロ印刷物だけのブースに派手さは無いが、提言集を手に取ればその中身からの重みは伝わったと思う。気にしながらも障害者に対し実際にどうすれば良いかわからない、と思っている人にとって、この提言集は出会いのきっかけになるだろう。「障害者市民」という聞き慣れない言葉も良い。市民権の無い言葉だからこそ新鮮に聞こえ、問題を指摘しているから。

提言集をもとに、多くの人が障害者と共に地域で生きる事が誰にとっても大事であることを学ぶにちがいない。私も防災ボランティアとして、また地域で共に生きるための小さな拠点を運営する者として、広めていきたいと思っている。

事務所の窓から

宇田川さんとは11月末のゆめ風シンポジウム以来、おつきあいが始まりました。関東で提言集を100冊近く販売してくださっています。この出会いからまた新しい輪が広がっています。

前号で、牧口代表からお願いをいたしました。充分応援していただいていますのに、さらにお願いすることばかりでお叱りを受けるかもしれないと覚悟していました。けれど「リーフレットを200部ほど送って」「提言集のこと催しで呼びかけてみます」「CDを預かります」などなど温かいお申し出を次々いただき一同感激しました。みなさまのご支援のおかげて黒字決算となりました。本当にありがとうございました。心から御礼申し上げます。

総会・・今年は3月17日(土)に新大阪でいたします。翌18日はゆめ風コンサートを箕面で開催します。阪神淡路大震災で支援活動を担った箕面の障害者ネットワークによる心のこもったコンサートにぜひご参加ください。

障害者の防災活動に対して助成金制度を設けています。1件最高50万円、年間総額100万円。避難生活を円滑に行なうための活動、支援ネットワークづくりなど。詳しくはお問い合わせください。

障害者市民ものがたり もうひとつの現代史(河野秀忠 著)

NHK出版 生活人選書 定価735円
重度障害者といわれるひとたちが、収容型施設や家庭から飛び出して、自立と解放を求める声を挙げ始めた一九七〇年代。車イスでバスに乗ることすら拒否する社会のありようを問う、彼女、彼らの想いや闘いは、もうひとつの現代史だ。当たり前の市民として生きることの困難さを、あえて選んだひとたちの息づかいを、名物編集長が情感豊かに、今を生きるひとびとに伝言する。

ゆめ風基金副代表、河野秀忠が障害者市民運動の現代史を本にまとめました。売上の一部は基金となります。同封の振込み用紙でお申し込みください。送料(80円)込みで815円です。書店でもお求めになれます。

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