ゆめ風基金

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ゆめごよみ風だより

No.352006年12月6日発行

リレー・エッセイ 災害と障害者 第十六回

山間部型の救援モデルを模索して 東南海地震 障害者救援ネットワーク作り事業

南海地震・東南海地震の集中的被害が予想される奈良県南部地域で、山間部型救援ネットワークを開発していくことを目的として、福祉医療機構の補助金を得て、事業を進めています。

主体は【ゆめ風ネット奈良】事務局を担うひまわりの家で、奈良県ケアマネジメント推進委員会と社会福祉士会のバックアップを受けています。

ひまわりの家は阪神淡路大震災の年から十年間、被災障害者救援募金活動を続けてきました。

十一年目以降の活動として、奈良県南部の山間部の障害者防災にとりくむことにしました。具体的には以下のことを目標としています。

  1. 震災時の救援体制として、吉野郡の北部三町に前線本部、吉野郡南部の十津川村に前進基地の足がかりを作る
  2. 「山間部型」救援ネットワークのよりよい形を見出す
  3. この事業を担う人材を育成する

事業の進捗状況

南和地域(奈良盆地南端以南の山間地域、県の半分を占める)で協力者を訪ね、防災計画を立てました。

十津川村

障害者のお母さんに協力して頂いて防災計画を立てています。拠点にしていた大淀町から十津川村の協力者の自宅までは約八〇km、冬には雪が降り、峠が凍結します。八方を山に囲まれ日本一広い十津川村で、どのように救援計画を立てたらよいか考えています。

また、南端に位置するために障害者医療や福祉を受けることの大変さをお聞きしました。その中で、同じように大変さを抱えている高齢者福祉との連携も大切だと思いました。

天川村

この村も過疎化が進んでいます。訪ねた方のそばの小学校も廃校になっていました。養護学校の訪問教育を受けていた方に協力して頂いています。いろんな人に囲まれて元気に過ごされていました。車いすに乗って大好きな歌手のコンサートに大阪まで出掛けたりと、話をお聞きしてこちらが元気をもらいました。天川村までの道もよくなっていてつながりをもっていけたらと思います。

大淀町北野M

車で一時間の町のグループホームで生活していて週末に大淀町に戻ってくる人に協力して頂いています。人口二万人を越す大淀町の北野は住宅地で、村の方の計画とはまた違いますが、坂の多い町で避難時に車いすを押すことは大変だと感じました。人口が多い地区で、災害時には静かな空間を設けてほしいという願いはどうしたら実現できるでしょうか。

のどか(大淀町の精神障害者地域活動支援センター)

防災の勉強会を開き、地震が起きた時何が必要かなど話し合いました。

ここを利用されている方に協力して頂いて防災計画を立てました。常時薬を服用している方にとって薬が切れることは不安で仕方がないとのこと。通院している病院は山の上にあるので、地震が起きたら、そこまで行くことが大変です。できれば地震が起きても家に居たい、駄目なら仲間のいる「のどか」に行きたいと話しておられました。

今後、三月に予定しているシンポジウムに向けての活動とその後の継続につながる体制作りを考えていかなければなりません。(福祉避難所、救援本部の設置・個別支援の布陣・医療の確保等)

「ここで生きていく」と決めた人々、その凛とした姿

上記のような目的で地元スタッフとして活動をしてきました。あっと言う間に八ヶ月が過ぎようとしています。

まず地震についての知識を得ました。奈良県南和地域では十津川村を中心に起こった明治二十二年の鉄砲水、昭和三十四年に川上村に被害が集中した伊勢湾台風がありました。

今日、殆ど大きな被害を受ける災害はなく、安全に暮らせることが当たり前になっている時代に生まれた私にとって、自然がどれだけ猛威を振るうか自分の身に降りかかることを想像することは難しく、今でも分かっていないことの方が多いのかもしれません。

そして、この活動をする中で「地域」というキーワードは色々なことを考えさせられる言葉でした。

過疎化・高齢化、福祉資源の量等、地域格差の広がりは日々報道されていますが、今とても身近なことだと実感しています。

この奈良県南和地域で災害時にどのようにして障害者を救援するかはまだまだ始まったばかりの活動のように思います。

「人が人を助ける」ということはビルが建ち並び資源が多い都会でも、ビルもなく資源も少ない村でも同じです。その時元気な人が困っている人を助けるというしくみも大切に思います。そこで生きていくと決めた人々が、安心して暮らしていける何かが見つかり、そのつながりが続いていくようになればと思います。

楠本(くすもと)晶子(あきこ)
一九七四年生まれ。奈良県下の山間部の知的障害者施設で、希望と疑問の葛藤の中で働いてきた。退職し、現在は「東南海地震 障害者救援ネットワーク事業」の専任スタッフとして活動している。超ゆっくりの話しぶりは人の心を潤し、きゃしゃな見かけに似合わない確固たる信念が頼もしい。

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