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ゆめごよみ風だより

No.332006年5月17日発行

リレー・エッセイ 災害と障害者 第十四回

台風十四号の教訓

また台風の季節が近づいてきた。

昨年の台風十四号の被害は、台風銀座といわれてきた宮崎においてもまれに見る大きな被害をもたらした。

宮崎県内での想定外の豪雨は、死者十三人、負傷者二十六人、住家被害九一八六棟の被害を出し、山間部の傾斜地の深い地層まで浸透し大規模な「深層崩壊」を誘発。宮崎、延岡市など河川河口部では、都市化が戦後進んだ流域で被害を大きくしていた。森林や土の保水、遊水機能の低下が多くの土砂災害と大量の雨水の河川への流入を生み出してしまった。大淀川沿いの旧高岡町(現宮崎市)は、全戸数の約二割に当たる一一六八棟が浸水等による住家被害に遭った。

地震と違い、規模や大きさ、予想進路が把握及び予測されている台風において、大きな混乱と被害をもたらしたことは驚きであるとともに、近代化の中での森林の荒廃と密集した建物が災害を大きくしてしまったことに驚かされる。

後日の宮崎日日新聞のアンケート調査によると、洪水ハザードマップの存在を知らなかった、または保管していなかったという人が七割を超えていたという。慣れによる「大丈夫」という思い上がりも大きな被害をもたらしたともいえる。

わがセンターの事務局長も大淀川が危険水位になり避難勧告が出たので、夜半に近くの小学校へ避難した。一人暮らしの彼は、ヘルパーに泊まってもらっていたので、ヘルパーとともに避難することができた。授産施設に通所するI氏は妹さんと暮らす重度の脳性まひ者である。彼の自宅も避難勧告が出たが、消防局の災害弱者情報管理事業へ自己申告していたので、連絡しておけばすぐに救助に来てくれると思っていたが、中々救助は来なく、近所の人も避難し取り残された。避難勧告から相当経って救助が来たという。大淀川が氾濫しなくて幸いだった。一度に多くの人からの救出依頼が舞い込み、消防局の避難支援や安否確認等に混乱が生じていた。

その後、宮崎市は庁内各課(消防局、障害福祉課、介護長寿課)で災害弱者の情報を共有することにはなったが、市民団体等との情報共有に関しては個人情報保護法の観点からハードルが高いようだ。

我々障害者が安全に避難するためにも、緊急時の各支援団体の情報共有と、近所との係わり合いや、避難場所等の情報把握が大事である。

台風の進路:太平洋側から九州を縦断し日本海へ抜けていく

I氏が通う授産施設のT施設長は、十年前の阪神淡路大震災で在宅障害者の支援に奔走した体験を持つ。幸いにも彼の授産施設のメンバーの被害は無かった。しかし彼は共に歩んできた人手の少ない作業所が気になった。宮崎市内近隣の作業所に電話をかけたところ、宮崎市のたんぽぽ福祉作業所と旧高岡町のすくすく工房が壊滅的な被害を受けていることがわかった。自らも被災しているスタッフやメンバーにとって我が家の回収が第一義ではあるが、無料での粗大ゴミ回収期限がある中、八方塞の状態であった。災害ボランティアも人命優先、個人への救済が優先になり、小規模作業所等への救済は人的にも金銭的にも無いに等しかった。T氏は日頃関わりのあるボランティアに声をかけ、後片付け等の作業を支援した。また市内の施設等に連絡をし、実情を訴え続けた。

この現状は市育成会会長により【ゆめ風基金】事務局に打診が行われ、上記二作業所を含めて三箇所に支援金が贈られ、器具の整備や車の修理等に使われた。ただ老朽化しているうえに被災した建物の改修や、畑への上水道の整備等は、年度末に分配される共同募金等の配布を待たなければならなかった。半年がたっても原状に復帰できてないのが実情である。

たんぽぽ福祉作業所の西本代表は「被災した直後は作業所を辞めることまで考えていたが、みんなの支援でやっと現状に近づいた。しかし今度は障害者自立支援法という大きな嵐がやってきた。これからどのようにしていけば良いのか」と嘆く。

日頃通所する施設等が被災した場合、メンバーの行き所が無くなり、避難所や自家だけでの生活になり、後片付けや整理等を精力的に行わなければならない家族にとって、また慣れない環境下にあるメンバーにとって大きな痛手であろう。社会資源としての作業所や施設の早急な復旧に行政の力を仰ぎたい。

台風襲来が多く、過去大きな地震も経験している宮崎であるにも拘らず、多くの被害を出した今回は多くの教訓を与えた。障害者の自立支援を行ってきた我々も避けて通れない問題として取り組んでいかねばならないと思い、【ゆめ風ネット】の一員となった。先ずはいろんなところに顔を出し、県内のネットワークを作っていければと思う。

全国の皆さんの活動内容や知恵を多く取り入れ、一人一人の命を大事にする宮崎を作って生きたいと強く思う。

永山ながやま昌彦まさひこ
特定非営利活動法人障害者自立応援センターYAH!DOみやざき代表理事。社会福祉法人ゆくり 小規模授産施設アートステーションどんこや理事。一九五四年生まれ。宮崎市生まれ。脳性小児麻痺。妻一人、子四人。懸命に少子化に歯止めをかけている最中。

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