ゆめ風基金

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ゆめごよみ風だより

No.232004年2月9日発行

いざという時に役立つことは日常の延長線上にある

わっぱの会 斎藤まこと

生徒に車いすを見せながら説明していく
小学生に車いすの扱いを教えているところ

今年度【ゆめ・風基金】から100万円の助成をいただき名古屋の地で「災害時に障害者・高齢者を支えるために(仮称)」という冊子を作成しようと取り組んでいます。この事業がどのような狙いをもっているのか、現在どこまで進んでいるのか簡単にご報告したいと思います。

名古屋で【ゆめ・風基金】からの助成をいただいて取り組むきっかけは、いうまでもなく、2000年9月に起きた東海水害時に障害者や高齢者への支援に様々な問題があったという反省からです。水害で2階などに取り残されたままの人への対応が遅れたり、避難所は障害者が行ける状況でなかったり、福祉避難所はあったが行政は開設の必要なしと判断したりなど様々な問題が生じました。また地域の民生委員や町内会も機能したところとしなかったところの差が大きかったことも後になってわかってきました。

しかし、一方で障害者団体自身が災害直後から支援に向けて素早く動いた例もありました。決壊した川のそばにあった2ヶ所の作業所は大きな被害を受け使い物にならなくなりました。(当時【ゆめ・風基金】には素早く対応していただき行政よりも早く300万円の救援金を手渡すことができました。その節には大変お世話になりました)この被害にあった作業所「友の家」のメンバーの多くをよく知る団体があったのです。「コンビニハウス」という生活支援の活動を行なっている団体です。友の家のメンバーの多くがコンビニハウスのサービスを利用していて、コンビニハウスの人たちは被災した障害者の状況や家の場所などを良く知っており、とにかく何かしなければということで、自分たちでボートをホームセンターで購入して救援に駆けつけ、またメンバーの安否確認を即座に行なったのです。行政よりも素早い対応なのはいうまでもありません。考えなければならないのは、なぜコンビニハウスの人が即座に対応できたのかということです。これはコンビニハウスが24時間対応の生活支援の取り組みをしていたということが大きかったように思います。日常的にヘルパーを派遣し、送迎し、健康状態などを把握しているということが「すぐ助けに行かなきゃ」という気持ちを起こさせたのです。その意味では町内会や自治会など既存の組織は地域に住む障害者の実態を知らないがゆえに対応できなかったのです。

もう一つ課題として残ったことは、即座に対応しなくても数日後に福祉関係者が被災地に応援に行くという行動は極めて限られていたということです。実際私も、自分たちで介助派遣を行なっている利用者への安否確認などはすぐに行ないましたが、それで終わりだったわけです。【ゆめ・風ネット・名古屋】の窓口なのに救援活動の動きは極めて鈍かったという大きな反省をしたのです。

このような体験を今後にどう活かしていくのかという問題意識をもって、いくつかの障害者団体、災害ボランティアの団体、社会福祉協議会などで「災害時における障害者の救援・支援のあり方を考える会」という小さな集まりをもって話し合いを始めました。その中でまず愛知県内の社会福祉施設へ防災に関するアンケートを行ない210施設からの回答を得ました。この結果から築20年以上経っている施設が28%もあったり、施設利用者宅に出向いての救援ができないと答えた施設が30%あったり、災害に関する講習会に参加したいと答えたのは88%もあったりなどいくつかのことがわかりました(詳細は冊子の中で紹介する予定です)。このアンケートを足がかりに議論を始め、施設の耐震化の問題、東海水害時の救援実態について時系列での整理、災害時のコーディネーターの役割や役割分担、自分の住む地域の災害対応力の問題、既存の福祉施設やNPO団体の活用方法などについて議論はやや迷走気味に進んできました。また名古屋でもこの間いくつかの障害者団体で災害に関しての取り組みが少しずつ行なわれるようになりました。

様々な議論をしてきたのでこの議論を整理して冊子にまとめようと計画しました。そこで今年度【ゆめ・風基金】より助成を受け、まとめの作業に入っています。災害時対応マニュアルというものは今までいくつも出されているので類似する内容にならないようにしながら、自分たちの体験やその後新たに始まっている地域での取り組みを紹介し、災害時にどのような考え方をしたらいいのか、また日頃どのような活動をしておくべきなのかなどを提案する内容にしたいと考えています。

「移動」「情報」「避難所」「コントロール」などをキーワードにして、災害時に誰が何をするのか、何を利用するのか。何に着目して何を優先させるのかをいうことを提案するのが内容の柱かなと話し合っています。さらに欲張ってこの冊子を災害ボランティアコーディネーターの養成時のテキストにできたらとも考えています。

いま愛知県は東海地震対策で「災害バブル」のような観があります。災害対策といえば予算がとりやすいので何かにつけて防災や震災対策を絡めたメニューが増えています。名古屋市も政令指定都市では初めて震災対策強化地域に指定されたのでいろんなことが行なわれています。そのような中で災害弱者の名簿作りをするのかしないのかという課題があります。もちろんプライバシーの問題があるので慎重に考える必要があります。名古屋市の担当者がある地域でモデル事業的にやれないかと自治会の人たちに話を持っていくと、地域の人たちからは「災害弱者の名簿を持たされたら高齢者や障害者にどこまで対応していいのかわからない。責任が持てない」という反応がありモデル地域さえ作れない状態です。この地域の人たちの反応はある面当然といえば当然です。普段付き合いもない人たちの、それも障害者などの名簿をいきなり渡されて「いざという時に頼むから」と言われても困るわけです。

このことからわかるようにいくら距離的に近くても日常的なつながりがなければ簡単に行動できません。だから抽象的に「地域」といっても意味がありません。場所は離れていても有効なつながり方というのもあるはずです。また「地域」を具体的なものにする取り組みが必要です。今回の冊子をまとめる中でそんなことについても提案できればと考えています。

斎藤さいとう亮人まこと
1960年四日市市生まれ。3歳の時に発病。下半身マヒとなる。小・中学校は三重県の施設に入所。1986年より障害をもつ人ももたない人も共に働く場、共に生活する場を運営する「わっぱの会」で働き始める。同年「誰もが生きられる街と交通をつくる会」を結成、代表となる。1990年6月、政令指定都市初の「車いす」議員となる。1995年よりわっぱの会の生活援助ネットワーク事務局として活動。1999年5月より再び名古屋市会議員。

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