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No.212003年4月14日発行
あの日あの時からまる8年たちました。マスコミは1月17日、ことしも「あの日を忘れない特集」を組んで8年後のいまを報道しています。少しずつ風化してきたとはいえ、こうして1月17日を忘れない(とくに教訓を=どうすれば一人ひとりの生命を大切にでき、人がつながりをもって安心できるか)取り組みが続いているのは、あの日あの時からの被災地の人たちの気持ちや活動ぶりがマスコミを動かしているように思えます。
われら【ゆめ・風基金】活動もあの時、これからも次々と起こるであろう大事件(どうして事件は嫌なのが多いんやろ?)のたびに忘れられていくことを恐れて、10ヵ年計画にしたのでした。ことし6月で「あと2年」になりますが「続けてほしい」の声が圧倒的に多いので、まず約束通り10ヵ年でひとつの区切り(メリハリ)をつけて第二次10ヵ年計画として再出発したい、と決意を新たにしているところです。
さて、この8年間、あの日の教訓は生かされてきたでしょうか。マスコミも「暮らしぶりは…」「商店街は…」「復興住宅では…」「空き地は…」「行政は…」など様々な切り口で「あの日から8年」を分析しようとしていますが、私がショックを受けたのは「兵庫県内の復興住宅での孤独死は昨年(震災7年後)だけでも67名」という報告でした。それを裏づけるように復興住宅での「独り暮らし」は年々増加している、とあります。誰にも知られることなくひっそりと亡くなられた人々、その大半は病死とのことですが自殺や事故死も少なくない、といいます。また、病死といっても気分をまぎらわせるお酒の飲みすぎによる肝硬変などが多いそうです。
住み慣れない高層の復興住宅に住まわされて8年。ある高齢の女性は「いろんな人が親切に尋ねてくださるけれど、なにもかもしてもらうより、朝起きて、きょうも、あしたも、あさってもカレンダーに書くことがないのがつらい」と言われていて…とても心残る言葉でした。
心に残る言葉といえばもう一つ、48作も続いた『寅さん』シリーズの最後を長田区で撮ることになって「ほんとうによかった!」と思っておられる山田洋次監督の「独り暮らしのお寄りが安心できるってのは、玄関あけたらその家の妙なにおいがして、子どもの靴がひっくり返ってて、猫が寝そべってたり、近所から子らの騒ぐ声が聞こえてきたり…そんな雑然とした居心地のよさだと思う」という言葉にも、これからの復興への指針がこめられている気がしました。
私たちは大震災を体験して以降、ほんとうに(自分自身を含めた)一人ひとりの生命と願いと思いに向き合っているでしょうか。世の中全体で(とくに政治の世界ではどうしようもないほどに)人の生命が軽んじられている気がしてなりません。大震災後8年のいま、そのことがもっとも顕著に表れているのが高齢者の置かれた状況ではないでしょうか。高齢者の立場は、多少の違いはあるにしても障害者の立場を暗示しています。やはり「福祉」という概念に一日も早くおさらばして、高齢者にも障害者にも、そして子どもたちにもきちんと「人権」が確立するよう働きかけていきたいと思います。
「1.17人類の安全と共生を考える兵庫会議」追悼の集いで朗読された宣言の中間部分、「失ったものの貴さ/与えられたものの暖かさを/私たちは決して忘れることはない」と、結びの「未来の安全と安心に役立てるよう/そして世界のどこかで今も苦しむ人々に/ほんの少しでも勇気を手渡すことができるよう/地域を越え、社会を超えて/世界に向けて道をひらこう/それは私たちだからできること」を、ことさらに深く噛みしめています。「いま」という時だからこそ。
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