福祉避難所への直接避難ができるようになりました!

2021年5月20日の災害対策基本法の一部改正と連動して、内閣府が「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」を改正しました。
改正ポイントは以下の図のようなものです。
改正概要
 
 赤字の行の2番目を見ると「〇指定福祉福祉避難所への直接避難の促進」とあります。
 つまりこれまで多くの自治体が福祉避難所を二次避難所として位置付けていたことに反し、国が福祉避難所への直接避難という福祉避難所を一次避難所として位置付ける見解を出したのです。

避難図

 
 上の図をご覧ください。これまでは障害者、高齢者などが福祉避難所へ直接行くことを禁じられていました。
 そのため
 @近所で指定避難所となっている小中学校へまずは避難
 A指定避難所から連絡を受け、行政がトリアージをし、福祉避難所へ行く要援護者を決定
 B福祉避難所の対象者がいれば、協定を締結している福祉避難所に受け入れを要請
 C要請を受けた福祉避難所の準備が整えば、行政に受け入れを受諾
 D指定避難所に避難している要援護者に福祉避難所への受け入れ可能であることを連絡
 E指定避難所にいる要援護者を福祉避難所に移送する
という6段階の手続きが必要でした。
 しかし要援護者が福祉避難所へ避難できるとなると、
 @避難
で終わるのです。
 ただし「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」では「市町村は、指定福祉避難所へ直接に避難する者について、地区防災計画や個別避難計画等の作成プロセ スを通じて、事前に指定福祉避難所ごとに受入対象者の調整等を行う。」としており、誰もが直接福祉避難所へ行けるのではなく、事前に「個別避難計画」を作 成し、その作成過程で福祉避難所への直接支援が適当であると判断された人に限ります。
 しかし個別避難計画の策定は誰もが気軽にできるものではありません。
 また自治体には福祉避難所への直接避難には消極的なところが多く、2021年の読売新聞の記事には次のようにあります。
 「読売新聞は3〜5月、道府県庁所在市と政令市、東京23区、中核市の107自治体に福祉避難所の導入状況などを聞き、104市区から回答を得た。避難 方法について、直接避難を選んだのが11自治体。51自治体が一般避難所に身を寄せた後、福祉避難所の態勢が整った段階で移る「一般避難所経由」を選ん だ。「どちらとも言えない」は42自治体だった。」
 実際この原稿を書いているのは2022年10月ですが、大阪府に福祉避難所への直接避難を検討している自治体はあるかと聞いたところ、現時点ではないということでした。
 結局のところは障害者自身が自治体や福祉避難所へ直接声を上げ、福祉避難所への直接避難を訴えていかないと国が決めているからといって福祉避難所への直接避難が広がっていくものではないような気がします。