障害者救援活動にご協力ください
- 障害者救援金
送り先 - 郵便振替口座
00980-7-40043
ゆめかぜ基金 - その他の振込方法
特定非営利活動法人 ゆめ風基金
〒533-0033:
大阪市東淀川区東中島1-13-43-106
TEL:06-6324-7702
FAX:06-6321-5662
MAIL:info@yumekazek.com
障害者救援活動にご協力ください
昨年厚生労働省から「福祉避難所についての設置・運営ガイドライン」(以下福祉避難所ガイドライン)が出されました。
福祉避難所とは「高齢者、障害者、妊産婦、乳幼児、病弱者等、一般的な避難所では生活に支障を来たす」人たちのために、「何らかの特別な配慮」がされた避難所です。(「」内はガイドラインからの引用)
福祉避難所は2007年の能登地震で初めて公式に1カ所設置され、その後の新潟県中越沖地震では9カ所設置されました。能登地震では老人保健施設内のデイケアスペースが利用されましたが、新潟県中越沖地震は福祉施設に限らず、小学校の空き教室を利用したコミュニティスペースと音楽室、高校のセミナーハウスなど多様なものでした。福祉避難所そのものは、以前にも書いたとおり1996年に国が災害救助法を見直す中で位置づけていたのですが、具体的な取り組みがほとんど進んでいませんでした。
ただこの2~3年は内閣府から「災害時要援護者の避難支援ガイドライン(2005年作成2006年改訂)」(以下避難支援ガイドライン)が出されことを受けて、自治体と福祉施設の間で福祉協定を結んでいるところが少しずつ増えてはいます。福祉協定を結んでいるところの多くは福祉施設で、特別養護老人ホームが大半を占めています。協定を結ばず公民館などを福祉避難所として想定している自治体もありますが、その場合は単にバリフリーの施設だからという理由で指定しているものの、実際に福祉避難所としてどう開設するかの手続きなどがきちんと考えられていないケースがほとんどです。
福祉避難所を全く指定していない自治体も多く、福祉避難所の整備はようやく始まろうとしている段階といえます。
避難支援ガイドラインと福祉避難所ガイドラインでは福祉避難所の選定について、少し表現が変わっています。避難支援ガイドラインでは「福祉避難所としては、施設がバリアフリー化されているなど、要援護者の利用に適しており、生活相談職員等の確保が比較的容易である老人福祉センター、養護学校等の既存施設を活用することが考えられる」とあり、このことを受けて特別養護老人ホームなどが福祉避難所として協定を結ぶことになったと考えられます。福祉避難所ガイドラインでは「指定避難所、老人福祉施設、障害者支援施設、保健センター、養護学校、宿泊施設」の順に書かれています。最初に指定避難所を福祉避難所として活用することがあげられているのです。また地域における身近な福祉避難所と専門性の高いサービスを提供する拠点的な福祉避難所の設置の2種類を想定していて、身近な福祉避難所については「福祉避難所の指定目標については、要援護者や同居家族の生活圏やコミュニティとのつながりに配慮し、設定することとするが、少なくとも、地域における身近な福祉避難所については、小学校区に1カ所程度の割合で指定することを目標とすることが望ましい」としています。
私たちの災害支援の経験からも、指定避難所に福祉避難所機能を持たせるように考え、その他にどこか専門性の高い拠点をつくることが望ましいと言えます。
特別養護老人ホームなど福祉施設は専門職の人材は確保しやすいものの、多くの利用者を抱えているために職員まで被災すると、必要人数が確保できるかどうかが不安です。まして一般の指定避難所では、あらかじめ人材確保の方法を決めておかないと福祉避難所として利用することができません。
国は福祉避難所への費用として「十人に一人の割合で生活相談員を設置することができる」としているだけで、福祉避難所を必要とする人への介助員費用を認めていません。2つのガイドラインを見ても人材確保についての記述差はあまりなく、「都道府県、市区町村は、要援護者の避難生活を支援するために必要となる専門的人材の確保に関して、支援の要請先リストを整備するとともに、関係団体・事業者と協定を締結するなど、災害時において人的支援を得られるよう連携を図る」としています。要するにその地域の中のネットワークでボランティアを募れということです。輪島市の福祉協定では市が負担する費用として「介助員等に要する人件費(夜勤、宿直等に要する費用を含む)」と明記してあり、介助員の費用も認めている上、「福祉避難所の介助員等に不足を生じると判断したとき」は、速やかに市に連絡をとり、市が、他の協定締結法人に対して協力要請を行い人材を確保するように定めています。多くの自治体が人材確保について協定を結んだ相手に責任を求めている中で、画期的な協定だと言えます。
建物に余裕はなくとも人材なら派遣できる福祉施設もあるはずですから、福祉避難所の設置に関する協定だけでなく、支援のための協定も積極的に行うべきです。さらに指定避難所に避難してきた住民でも、福祉避難所運営の担い手になってもらえる人がいるはずなので、防災訓練などでその確認を行うことが大事です。
またもう一つの問題は必要な器材の備蓄です。一般的には指定避難所には飲料水や、毛布、簡易トイレ等の防災備品を備蓄していますが、このような防災備品を全く備蓄していない避難所も数多くあります。理由として「備蓄を行えるスペースがない」、「何か事故があったときに学校として責任が持てない」などの理由で備蓄倉庫を建てられないことが多いようです。
福祉避難所に特に必要な物資として「介護用品、衛生用品、要援護者に配慮した食料、 洋式ポータブルトイレ、ベッド 、担架、パーティション・車いす、歩行器、歩行補助つえ、補聴器、収尿器、ストーマ用装具、気管孔エプロン、酸素ボンベ等の補装具や日常生活用具」などがガイドラインに書かれていますが、これらのものが指定避難所に備蓄できるのかどうかが重要なこととなります。
指定避難所に福祉避難所の機能を盛り込むことは、そこを避難所として利用する一般の住民の合意が必要です。また指定避難所となっている学校などをどのように活用するかは、プランをつくるだけでなく、日頃訓練を行う中で見直すことが重要です。
ゆめ風基金としては、このようなことを決めていく上でも、日頃の防災訓練などの見直しがとても大切であり、これまでの見るだけの防災訓練から、体を動かす防災訓練に変えていくことが重要だと考えています。
現在ゆめ風基金が進めているブックレットでは「見直そう!取り組もう!防災活動 障害者市民発の防災取り組み事例と防災活動のポイント」をテーマとし、障害者市民や高齢者への支援として、本当に役立つ地域防災活動を広げていきたいと考えています。ご期待ください。
©ゆめ風基金